TakahisaHarada

パスト ライブス/再会のTakahisaHaradaのレビュー・感想・評価

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)
4.0
試写会。
幼馴染みの2人を描いたアカデミー作品賞候補の恋愛映画。地味だけど「あの時こうだったら…」という普遍的で皆が感情移入しやすいテーマにこの作品なりの回答が示されていた気がして良かった。

イニョン(運命、縁)という言葉がまさにこの作品なりの回答で、ヘソンの「来世で会おう」は切ないし、ロマンス映画とは違う、恋愛映画的な良さがあった。ロマンス映画なら「来世でも会おう」になるんだろうな…。

運命とか前世とか来世とか、そんなのあるわけないじゃんと斬って捨てるのは簡単だけど、遠い昔からこういう考えが脈々と受け継がれてるのには意味があって、その一つが一番大切な現世を前向きに生き抜くためなんだろうなとこの作品を観て思った。
ノラもヘソンも少なからず未練はあったけど、その思いをニューヨークの7日間で成仏して、最後は来世に託して、明日からまた前向きに現世を生きていくんだと思う。アーサー含め3人で行くバーのシーンとその後ウーバーまで送っていくシーンがまさに成仏の過程って感じでとても良かった。

ノラの転校前に韓国で行ったデートの帰りと、ニューヨークで分かれた後のウーバーが同じような画なのも良い。
監督がユ・テオとジョン・マガロを撮影前に会わせないようにしていて、ニューヨークのアパートで会うシーンの撮影が本当に初対面だったらしい。ファーストテイクが本編に採用されてるので、ヘソンとアーサーのあの感じが本当のリアクションっていうの面白い。
24歳頃のオンラインでやり取りしているシーンで出てくる「エターナル・サンシャイン」は似たような話なのかな…観たことないので気になる。