コット、はじまりの夏のragaのレビュー・感想・評価

オーソドックスな少女の成長物語に映画的手法を詰め込んだ上質な作品。田舎で暮らす親戚夫婦のルーティン生活にカメラアングルを変えて繰り返すことによって少女コットから見る世界の変化を描いている。さらに無駄な説明が無い映像は、見せないことで登場人物のリアクションや行動を表現する。わかりやすさは、時にその世界観を損ねてしまい凡庸なアンサーだけが取り残される。そうではない今作の演出は各登場人物の心情を巧みに表現している。それがラストのコットの言葉につながっていく。さすが、これが長編デビューのコルム・バレード監督の動向に注目したい。