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老ナルキソス

老ナルキソスの作品紹介

老ナルキソスのあらすじ

ゲイでナルシストの老絵本作家山崎は、自らの衰えゆく容姿に耐えられず、作家としてもスランプに陥っている。ある日ウリセンボーイのレオと出会い、その若さと美しさに打ちのめされる。しかし、山崎の代表作を心の糧にして育ったというレオ――自分以外の存在に、生涯で初めて恋心を抱く。レオもまた山崎に見知らぬ父親の面影を重ね合わせ、すれ違いを抱えたまま、二人の旅が始まる…。

老ナルキソスの監督

老ナルキソスの出演者

原題
公式サイト
https://oldnarcissus.com/
製作年
2022年
製作国
日本
上映時間
110分
配給会社
オンリー・ハーツ

『老ナルキソス』に投稿された感想・評価

netfilms

netfilmsの感想・評価

4.0
 現在のLGBTQIA+の世界と昭和の頃の新宿三丁目の空気とは何もかもが違う。それはもう彼らの在り方から周りの理解度まで現在の世界線と50年前の空気とでは同じ国とは思えないほどまったく様変わりしている。老絵本作家の山崎(田村泰二郎)はその空気を十分に理解しているはずだ。ゲイという呼び方がまだ一般的でなく、ホモセクシュアルとオカマと呼び合う世界線では彼らは日陰者で、アンダーグラウンドの住人だったはずだ。湖の水面に浮かぶ若い頃の自分の姿を思い浮かべながら、若い男を漁り続ける中で山崎はある日、売り専ボーイのレオ(水石亜飛夢)と出会い、彼の若さと美しさに完膚なきまでに打ちのめされる。何やら私は鈴木亮平さんと宮沢永魚さんの『エゴイスト』のような映画を期待して観に来たが、こちらはすっかりスランプに陥った昭和世代の主人公と美しい男娼との世代を超えた交流に思わず引き込まれる。私は松木俊夫の傑作『薔薇の葬列』の空気感を真っ先に思い出した。すっかり枯れて散り行く年となり、ある日出会った美しい男娼に電流が走り、自分の人生を回顧して行く。それは当然、決して良い思い出ばかりではない。若い頃によく遊んだバーのママ(日出郎!!)の顔を見る度に悪態をつく。肺に影が映り、もうすぐ手の施しようがない身体になって行く山崎は然しながら、自分の人生を足掻こうとしない。もうすぐ喜寿を迎える主人公は『みのむしもんた』(not みのもんた)の作家として幼少期のレオと応答する。

 然しながら山崎は自身の寿命にはほとんど抗わぬが、自分のセクシュアリティには幾つになっても抗い続ける。自分が社会からどれだけ軽んじられようが、惨めな老人になろうが高齢で高貴なクィアたらんとする。正直言ってその地平を切り開いた作品であることにかなりの感銘を受ける。実際にS男くんとM老人の需要と供給は60歳辺りを目途に著しく減少するようで、彼らの出会いは奇跡のような世界線足り得るわけだ。ゲイの当事者である東海林毅監督にとってはいわゆるBL映画とは違う本物のリアリティのある映画を撮りたかったはずだが、山崎もレオ君も当事者になったつもりで演じている。特に田村泰二郎さんの熱演は素晴らしい。山崎は残り少ない人生を駆け抜けんとする一方で、貧しいシングル・マザーに育てられたレオも圧倒的な父性を欲している。ただ単に身体を貪ることには飽き足らず、やがて愛情を深めた彼らの前にはパートナーシップ制度や養子縁組の制度のようないわゆる現代的な日本のシステムの矛盾と現実とが見えて来る。家族を欲する男と家族の意味がわからない男。まずは書類を提出して2人の現実を歩みたい男の三者三様の違いと言えば良いだろうか。後半デヴィッド・リンチの『ストレイト・ストーリー』のようなロード・ムーヴィーに雪崩れ込む映画は、老い先短い主人公に厳しい現実を叩きつける。然しながらその後の極めて幸福な着地点には惨めさも苦悩も恍惚も絶望も全てが含まれている。クライマックスの海の場面の困難さは『二十才の微熱』から30年あまりが経過した現代の厳しさと優しさを想う。中盤のシャンソン歌手・井関真人さんの歌も心にずしんと響いた。
ダムの放流みたいな映画(褒めてます)。

やっとこれだけテーマをたくさんモリモリに盛り込んで、しかも混乱もしないで、
しかも映像素晴らしく、
しかも音楽素晴らしく、
しかもお芝居素晴らしく、
「死ぬのかな」っていう奇跡的な名場面もあって、
しかもちょっとイジってる(区役所のシーンとか)映画爆誕!

やっとだぜ、マジで。

グングン進みつつ、そのスピードに振り落とされたモノ・ヒトをも掬って描いて撮って残してって欲しいです。
よろしくお願いいたします。

***

LGBTという言葉もなかった時代に生まれ育って
ホモだオカマだと笑われ、日陰者として生きることが王道だった当事者たちの中には

「何故自分はこんなにバカにされ我慢して隠れていなきゃいけないのか」という疑問に対して
「間違った存在なんだから仕方ない」と答えを決めて諦めながら生きることを選んだ人は多かったんだと思います。

そういうもんだとみんなが思っていた時代だっただろうし「は?ふざけんな!権利を!」と戦える人は今よりももっっっと少なかったことでしょう。

また、自分が我慢したり諦めたり二重生活を送ってきた当事者が他人や下の世代にもそれを強いてしまうっていうのも、
想像に難くない。

そうやって生きるしかなかったかどうかはわからないけどそうやって生きてきた多くの人が今は年老いていて、

同性婚が認められる国が増え、国内でも同性パートナーシップ制度を施行する自治体が増え、アライ(ALLY)の人たちも増えて大きく変化した世の中で、

全然ついていけず振り落とされてしまう当事者にも、この映画は優しい。

(長々と失礼しました。。↑この一文が言いたかった!)

***

世の中をどんどん進化させて、生きづらさを感じる人が減ることはもちろん大事だけど

そこから振り落とされてしまう人たちを単純に「恐竜」だの「時代遅れ」だのとそれこそ嘲笑しちゃうのもちょっと違うような気がしていて。

政治やアクティビズムの舞台ではそれくらいの勢いがものを言う場面もあるとは思うので否定はしないけど、
映画はもっと温かく優しいものであって欲しいと思う。

映画には、「権利権利うるせーなぁ」って言っちゃうゲイ当事者にさえ優しく手を差し伸べるものもあって欲しいなと思う。

この『老ナルキソス』にはその優しさ、温かさがあると思う。
(長々失礼しました。。↑この一文が言いたかった!)

***

80年代には日本にもHIV/AIDSの脅威が襲っていて
風評被害による激烈な差別行為を一般からもマスコミから受ける中で
友達がHIVで亡くなっていくし
HIVで亡くなったということも言えない時代だった。

そういうことがあったということをスルーせずに、
この映画では掬い上げいている。

時代の流れに振り落とされたり、忘れられて、なかったことにされそうなコトをちゃんと拾い上げていた。

***


芝居がいい。

こういう映画の美男子役ってとにかくルックスだけ良くて(しかもルックスも?って場合もあるし…)芝居が大根すぎるってケースが多かったように思いますが、否っ!

水石亜飛夢がまだ若いんですけど、舞台やら映画やらドラマやらとんでもない量出ていて、、すごい奥行きのある人物像になっていました。
水石亜飛夢の功績が一番大きいと思う。

主演の田村泰二郎は、唐十郎の状況劇場出身の方で舞踏もやられている色々別格の存在感を持った方。
主役としての存在感がすごい。荒れ狂うように展開していくこの映画の真ん中で、日本のどこかに実際にいるであろう誰かとして存在していたのがすごかった。。

***

井関真人のシャンソンが劇中とエンドロールで流れるんですけど、、その本物感に圧倒されました。。

シャンソンについては全然知らないしどう楽しむものなのかもわからないんですけど、歌を聴いているだけなのに(?)劇中劇を見ているかのように歌の中の物語がグワ〜ッと始まってしまう。

***

映像も良かった。
挿入される実景も素晴らしく美しくて語りかけてくるものがあった。

どの要素も良かったし、それでいてつまんない映画になっていない、独特の独特の歪さもある映画で、ほんとに楽しかった。
東海林監督の短編「老ナルキソス」のセルフリメイク長編、観ながら短編の方が良かったかなぁ!思っていたんやが、改めて自分の短編の方のレビュー見たらスコア2.5の低評価……、あれ?本作はそこまで悪くはなかったぞぉ

古希を迎えた絵本作家の山崎はスランプに陥り新作を描けないでいた、そんなある日超絶イケメンなウリ専の男娼のレオを買った山崎はプレイで尻を鞭打たれた時の衝撃で失神してしまう、かつて様々な男達に縛られ犯される自分の美しさに酔っていた山崎だが、今や自分より遥かに若く美しい男に鞭打たれ気を失った体たらくにショックを受ける、しかしそれ以来レオにどハマりした山崎はレオへの独占欲を募らせていくが……って話

まぁ短編版に比べて圧倒的に良くなったとこといえば!レオの役が水石亜飛夢くんになっているとこよね!ぺろぺろ
そうね、どちらかと言うと男子よりも可愛らしい女の子の方が好きなマシンボーイやが、カッコいい斎藤工のワイルドなフェロモンで迫られたら迷わずパンツ下ろすし、可愛い高杉真宙くんが隣に寝ていたら思わず抱き寄せてしまいそうな危うさはありまして、本作の亜飛夢くんはそのふたりの魅力とはまた違った美しさがありましたなぁ、女優さんでいうとこのモトーラさんのようなフランス印象派の絵画を思わせる美しさで、キラメイジャーや阪元監督作品で見るコミカル亜飛夢くんとはまた相反する魅力がありましたね!

対する山崎役は短編と同じく田村泰二郎さん、70を超えて全裸になり尻を鞭打たれたり、波が荒ぶる海に突進したり、まぁなかなかハードな役柄を見事に我が物としており、うむリメイクするとて他の人では考えられなかったでしょうね、また性格の捻くれたジジイの役が上手いんよ!憎たらしい〜

他にも山崎の友達でゲイバーのママの若い頃役でタカハシシンノスケくん!医者の役で津田寛治!役所職員役の根矢涼香!の3人にはマシンボーイも万歳したし!さらにモロ師岡に村井國夫と、東海林監督作品としてはかつてない豪華キャストでしたねぇ
しかし、亜飛夢くんは美しいといっても男性的な美しさを感じたが、タカハシシンノスケくんに関しては本作くらいの感じやと女性言われてもわからんくらいに出来上がっていたね、でもソノザ役とかのワイルドなシンノスケくんがマシンボーイは好き〜

まぁストーリー的にマシンボーイが短編の方が良かった、思ってしまったんは、亜飛夢くん演じるレオが恋人との今後について悩む、っつ〜シークエンスがかなり盛り込まれているんやが、そこがかなり蛇足に思えてしまったことにあるんよなぁ!
いや、おそらく監督やプロデューサー的には同姓同士のカップルが少しずつ世間に認められていく過渡期である今こそ、パートナーシップ制度、里親制度について描いておきたい!っつ〜想いがあったんだろうけど、正直言えばそれが山崎の過去への悔恨や若さへの羨望を際立たせる効果よりも、テンポの悪さによりボヤかせる方へと働いてしまっていた気がする
それに亜飛夢くんファンの女子からしたら亜飛夢くんと彼氏のラブシーンも重要かもしらんが、マシンボーイ的にはそちらは別に要らんから亜飛夢くんと田村さんの年の差50歳SMプレイもっと観たかったよなぁ

うん、なんで短編の方が良い!って思ったかというと、山崎のレオの若さ美しさに対する羨望がシンプルに描かれていた気がしたからなんやが、そのスコアの低さを見ると……マシンボーイの内で美化されていたんかな?「ホモソーシャルダンス」「帰り道」、「はぐれアイドル 地獄変」が好きすぎて「老ナルキソス(短編)」まで好印象になっていたのかも?もっかい見直してみようかなぁ?

そんな感じで長編版もストーリー的にはそこまでハマらなかったワケですが、キャストは良いし、ポスタービジュアルにも感じられる画的な美しさは素晴らしくてね!一見の価値のある作品やったぞぉ!
まぁ個人的には上記した3作「ホモソーシャルダンス」「帰り道」「はぐれアイドル 地獄変」のがオススメやからばU-NEXTはいっている良い子の皆んなはぜひ観てくれよね!未見の「片袖の魚」もU-NEXTで観れるようにならんやろか…

ちなみに、舞台挨拶登壇予定やった亜飛夢くんは残念ながら本日参戦ならず!くぅ……残念!
あ…東海林監督ってこんな若い人やったんか、なんか60くらいのベテラン感を勝手に感じていたぞぉ




まぁ本作はスーパー戦隊シリーズ前々々作出演の亜飛夢くんと、前作出演のシンノスケくん出演やからば、ついでに関係ないけど言わせてもらったら……
くぅ、今朝のキングオージャーも素晴らしかったね!先週から参加の追加戦士ジェラミー・ブラシエリも生意気でキャラが濃くて、もはや濃さに濃さを重ねるビジュ爆発キャラ祭りみたくなってるけど、キングオージャーほど箱で推せるスーパー戦隊今までなかったし!(側近達まで含めて)
それでもやっぱりマシンボーイが特別愛してやまないリタちゃまは今週でも奇声はっしていてハッピーやったね!くそぅ!まだ出演2回目の新人のクセにリタちゃまに顔面鷲掴みにされたり襟首掴まれて連行されっとか……ジェラミー図々しいぞぉ!代われ代われ!
しかし、リタちゃまに愛の言葉を向けると剣先返される……気をつけよぉ

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