どーもキューブ

バニシング・ポイント 4Kデジタルリマスター版のどーもキューブのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

リチャード監督のある男の消失点


1971年
リチャードCサラフィアン監督
脚本ギレルモケイン。
ストーリー、マルコムハート。




知ったのは、ツイッター。私のトラウマ解消映画が上映される、しかも4Kときた。そもそもアメリカンニューシネマ期の作品が上映されるだけで、もうなんだって大歓迎なのだが。

出会ったのは、多分若き20代前半。ビデオダビングしたと思う。それほど衝撃的だった。ていうか、あのラストを見た瞬間、わたしの嫌な気持ちが吹っ飛んだ。わたしのなかの悪い気持ちが消滅した。

トラウマ解消とは、そんな意味。自分の中の悪い気持ち、悪い思い出が、コワルスキーの消失を見て綺麗に消え去った。気持ちがよかったのかもしれない。
終映2日前、シネウインドにて見てきた。



いやあ、想像以上にカーアクション映画として素晴らしい映画だった。また主役のコワルスキーが、まああんまり喋らない喋らない。そしてその理由は、素晴らしいモノローグ理由づけ過去描写が優れていた。

それは主人公が走ってる間に見るふとした瞬間にモンタージュはしっかり繋げていて大変感心した。

走り屋が勝負を挑み、打ち負かし、ボロボロ車からよろけて出るのを見て、自分がレーサーで事故負傷した記憶が蘇るみたいなつなぎだった。

ラストの消失点は、至極論理的にも見えた。それは無茶な運転か、過剰な薬物摂取からきているのかもしれない。

そしてコワルスキーには、助ける援助者がいた事に気づく。

ラジオパーソナリティの黒人。彼等は、コワルスキーを助けた感じで警察より暴力を受ける。

ガラガラ蛇を捕まえる男。彼が蛇と物々交換する主催者は、宗教団体 の音楽コンサートをしている。魂の救済を、自由を訴える。

チョッパーバイクを乗る男とその彼女も終盤いた。
それにしても全裸女性が妖精のように思えた。やはり、鑑賞後資料を読むとこの女性は、幻想とも取れるとのこと。確かにそんな感じはしたのだ。
全裸の女性は、コワルスキーの事を理解している風な話だった。
また終盤のDJとコワルスキーは、携帯で喋るように話していた。


上映中に主演のバリューニューマンが亡くなったとのことで、びっくりした。
髪型が、過去だと ちょっと短くなる。レーサーであり、元警察官であり、恋人をサーフィンで亡くすというさりげないモノローグが素晴らしかった。アクションだらけに繋げるブリッジ的に過去をつむぐ編集に好きな理由がますますよくわかってきた。

資料を読むと、カット箇所がいくつかあり、あの同性愛のカップルもなんか?余計と今回感じたのだが、シャーロットランプリングを乗せ、 関係を持たせたくだりもあったそうだ。 だが、明らかに余計だろう。女性拒否感を出したかったらしいが、「完全版」があったらみてみたい。

監督のリチャードC(カスパー)サラフィアン。義兄がロバートアルトマンで、妙に納得した。モノローグの感じがなんか似てなくもない気がした。アルトマンのテレビ時代の助監督をしてたらしい。

知る人ぞしるリチャード監督は、「クライシス2050」の監督でもある。大赤字映画でも有名。

冒頭のストップモーションは、霊柩車とすれ違うとか全くわからなかった。が、ラストの唐突な感じも素晴らしかった。それだけカーアクション、モノローグにしっかり漂っていたからだ。このカーアクションだけでも素晴らしかった。
道路を写すカット。画面を何往復も駆け抜ける白い車。車を見つめる映画でもあった。

この撮影だけでも素晴らしい。本作、「ザ・ドライバー」、ハリッキーの「バニシングイン60」3本は、カーアクションの名作と踏んでる。

爆走する車を応援する映画だった。爆走するバイクを見る映画「イージーライダー」とは違う、暴力性をおびている。イージーライダーは、外部からの完全暴力。本作は、内在する暴力で全然話しは別になる。



さて
暴走コワルスキーの消失点
リチャード監督の暴走

ぜひ! ご覧ください!このコワルスキーの全力疾走を!

フィルマ版追記
ラストがあまりにも唐突で、もう会場から出歩かなきゃいけないの?状態になってた。
見続けた白い車は、縦に真っ黒焦げになり、処理業者みたいなのが後片づけまでしている描写がありまた素晴らしかった。あそこに集まるなんだかわからないドキュメンタリー的観客の描写もさり気なくよかった。

結局今回見直して、何も心にトラウマ解消はなかったのだが、予想以上に素晴らし過ぎるモンタージュとカーアクションにひたすら浸っていった消失だった。

私の魂は、間違いなくコワルスキーに吸い取られたのは、多分間違いない。
何度も道路を逸脱し
何度も砂漠を駆けめぐる

麻薬をくれないか?でみんなすぐ薬をくれる描写も面白かった。みんな持ってけ描写だった。この功罪なんかもしれない映画にも見える。

あの白いダッチという車のエンジン音が今記入してる自分の耳にまだきこえているからだ、、、。

ブゥオオオオン~~ーー



 
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