ちこちゃん

アンダーカレントのちこちゃんのレビュー・感想・評価

アンダーカレント(2023年製作の映画)
4.0
「人をわかるってどういうことですか?」
「自分でも自分はわからない」

そうだと思います。
映画のように、人は見せたい自分を見せることもありますし、相手が見たであろう自分を演じることもあると思うからです
だから、ペルソナ=仮面なのではないかと思うのです。

本映画も失踪した夫のことを夫であるが故に、一番理解していると思っていた主人公が、リリーフランキー演ずる探偵の調査により、全く知らない夫の姿を知ることになります
夫婦であっても、親子であっても、すべてを知っていると思うのは、誤解であり、傲慢とも言えるかもしれません。

そして、過去に起こった出来事が、アンダーカレント(意識下の底流)にあり、自身が気付かぬときに、それが自身を突き動かすこともあるのでしょう

静かな、間を大切にする、そして風の音、葉がそよぐ音など自然音が劇伴のように聞こえる映画でした。

真木さんも江口さんも劇でも映画でも拝見していますが、真木さんさ断然映画の方が良いようにおもいました。お2人のバディ感が滲み出て、それもプラスに作用したようでした。リリーさん、井浦さんは流石です。

映画を見てわからなかったことは、暗転が多用されていたことです。はじめは月がかわり、時の経過を示すのかと思っていたら、後半はそうではなく、もし、暗転がない映画ならば、どのように違って感じただろうかと思いました。
後、リリーさんのネクタイの柄の趣味は謎でした。探偵らしい仕事を仕上げた時だけ、地味な柄でした。なぜでしょう?

全体を通して、いつも今泉監督の作品で思うことは、観ている者に押し付けないこと、そして、人への眼差しが本当に優しいことです。今回も、堀さんの最後の告白のところで泣いてしまいました、
かなえの後を離れて歩くのも良かったです。

そして犬がとても可愛かったです!
監督がXで映画を観て欲しいと何度も言われていたので、映画館で観れて良かったです。
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