"ここは…《魅惑の店》のはずでは?"
"…そう…ここです…この施設の事です…"
オーナーシェフと大喧嘩の末、店を飛び出したカティがようやく見つけた職場は…移民の少年たちが暮らす自立支援施設…
不満タラタラなカティに施設長がある提案をする…"少年たちをアシスタントにしてみては?"
人付き合いが苦手なカティでしたが、渋々その提案を受け入れる事に…
天涯孤独で我が強く、ちょっととっつきにくいシェフ・カティと様々な理由でフランスにたどり着いた移民の少年たちが"料理"を通じて心を通わせていく…
正に料理は世界共通…"美味しい"は、人を幸せにする…そう感じさせる爽やかな一本。
とは言え、背景にあるのはフランスが抱える移民問題…いくら手を差し伸べてもどうする事も出来ないシビアな現実も短い尺の中でしっかり描かれ、単なるコメディとして終わっていないのです。
調理師の仕事の流れをサッカーに例えて伝える等カティと少年たちとが心を通じていく様がサクサクいきすぎるので、ここら辺りが評価が分かれそうですが、私は良かったと思います。
カティを演じたオドレイ・ラミーの演技が素晴らしいのです。
子供たちと接していく事でカティ自身も人して成長していく…でも己の信念は曲げず、"ウィ、シェフ!"と聞くと自然と背筋がピンと伸びるような…そんな清々しさが本作の魅力であるような気がしてなりません…
シェフの話ですから、当然、画面に現れるフランス料理の数々はまことに美味そうです。
ちょっと意外だったのは、一流のフランス料理レストランで"てんぷら"…更には牛の"タタキ"とくるとは…和食がこんなにワールドワイドになってるのね…と実感したのでした…