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イカロス 片羽の街のdarumaのレビュー・感想・評価

イカロス 片羽の街(2023年製作の映画)
4.0
秦基博くんが所属するオフィスオーガスタのファンをしているので知った作品。いつかU-NEXTに入ったら観ようと思ってました。結果、物凄く自分に合ってた!流石オーガスタ、普段から映画関係やってるだけある。

新進気鋭の監督陣が、秦くんの新曲「イカロス」にインスピレーションを受けて制作されたオムニバスです。監督が「猿楽町で会いましょう」の児山隆監督、「少女邂逅」の枝優花監督、「わたしは光をにぎっている」「やがて海へと届く」の中川龍太郎監督。どの監督も作品を観ており、わりと好きな監督だったので、発表された当時「秦くん持ってるなぁ!流石オーガスタ(←観終わった時と同じ感想、笑)」と思ってました。

最初の「トイレのハナコ」は児山監督という認識を持った状態で観始めたので、おおーなるほど…うん、結構いいんじゃない?ラストの台詞がグッと来た。小川未祐さん、菊池姫奈さん、どちらも初見でしたが(フィルモグラフィ見たら観てる作品はあったのですが認識は今回が初めて)、最初にお名前が出て、どっちがどっち?ってなった。お姉さんのほうが小川さん、可愛い感じが菊池さんですね。実は「猿楽町で会いましょう」はそんなに好きではなかったのですが、リアル系という認識ではありました。なので、うん、わかる。私は本作のほうが好き。

次は枝優花監督の「豚知気人生」。これが一番キレッキレだった、度肝抜かれるというか(笑)安藤玉恵さんになんて演技やらせるの!?その泣き方はいかにも嘘っぽいぞー!みたいな(笑。そういうシーンではないんですが。。)からの「ひまわりの約束」を歌わせてみたり(!)
旦那さんが渋川清彦さんでこれまたキレッキレ!オムニバスなので各監督持ち時間が30分弱なのですが、導入がまあ端的に表現されてる!(笑)すんばらしい…
メインの男の子がなんか見たことあるけど誰だっけ…?菅田将暉くんの弟か!(菅生新樹くん)ある角度になると「似てる!」と思った。ぶっちゃけ彼は演技が全然まだまだなので、周りの2人がめっちゃ支えてた感じですが、悪くはなかった。
あまり書くとネタバレになっちゃうので言い方が難しいのですが、渋川さんが可愛すぎた…(笑)

こういうオムニバスって、そのモチーフを繋ぐ共通アイテムとか出てきますよね?監督に伝えられているお題目みたいなものというか。本作は同じものではなかったのですが、1作目も2作目も破れたぬいぐるみが出てくるので、これが縛りなのかな…?と思った。(でも、3作目に出てきたかはちょっと覚えていない。だとしたら偶然かな?)

最後の「十年と永遠」は、観始めてからだいぶ時間が経っていたので「監督誰だったっけ…?」と思いながら観ていました。で、途中で解った!中川龍太郎印、満点。監督お得意というか、おそらくライフワークであろうテーマです。これがめちゃくちゃよかった…!教会で言い合うシーンで泣いてしまった。
もう、観終わった後にすぐ中川監督の別作品を観たくなりました!

(実は本作を観る前に、この90分くらいしかない(2時間は無理な)空いた時間でどの作品を観るか、U-NEXTの画面を見てちょっと悩んでました。クリップしてたものを眺めていたら、中川監督の他の作品を見つけて、監督の作品リストから「そうだこっちを観ないと!」と思って本作を観ました)

その言い合いと言うのが、かなり高度な内容なんですが、物凄く核心を突いているというか、刺さりすぎた…

あと、詩もとてもよかった。

ラストに中川監督に〆て貰って、本当に良かった。(単純に好み)

ちなみに役者陣は葵わかなさんが主演で学校の先生、生徒役に「茜色に焼かれる」の和田庵くんです。彼には全然気づかなくて、エンドロールで「そうだったのか!」と思いました。葵さんはど安定、さすが朝ドラ女優。あと、須藤蓮くんが出てます。友情出演となっていましたが、誰のだろう…?

そういえば、最初の作品に片山友希ちゃんが出てました。ここも「茜色に焼かれる」だ!キャスティングする方が観たのかな…?なんか私好みな人ばかりで嬉しい。

曲は公開時に聴いたきりであまり憶えていなかったのですが、エンディングで、なるほど…!(勿論その曲がかかります)
ちゃんとインスピレーション与えてました!
うまく3本にできている。全く違うシチュエーション、関係性、でもテーマは同じ。
映画を観る前は、この曲が凄く好きかと言われるとそうでもなかったのだけれど、観た後で聴くとめちゃめちゃしっくりくるというか。
映像の力って凄いな…と思った。

(なんか全部書いた後で読んでみて、以下はコアすぎるので興味がある方のみ読んでいただければ…バックグラウンドというか、映画の内容とは直接関係ないです)

そして、(最後に書いてますが)観始めて一番最初にビックリしたのが、制作がレプロエンタテインメントだったんですよね!(そうなのか!と…オーガスタの名前も出てたので、丸投げではないと思いますが)
なんか直近でここが制作に関わっている作品ばかり観ていたので驚いたっていうのと(以前劇場で観た「あの娘は知らない」の配信が始まったのでまた観たのと、「アンダーカレント」がそうでした。真木さんが業務提携してる)、「あの娘は知らない」に安藤玉恵さんが客演的に出ていたので、関係あるのかな…?と思った。で、エンドロールでプロデューサーのお名前を見ていたら、同じ方が!!(やっぱり!)いやー繋がってしまった…(本作のほうが公開は後ですが、どちらが先に撮影されたのかはわかりません)
このプロデューサーさんと合うわ、と思ってしまった。

(関係ないけど「あの娘は知らない」は岡山天音くんが出ているので観たのですが、本作には彼と過去作でメインキャストとして共演した方が結構出てた…片山友希ちゃん、本多力さん、須藤蓮くん。そういう意味でも好みが近いのだと思う)

更に関係ないけど(そしてここに書く事でもないが)「あの娘は知らない」はレプロの「感動シネマアワード」という企画の1つだったんですが、この企画の作品、めちゃくちゃ良さそうな並び…!「世界は僕らに気づかない(飯塚花笑監督。「フタリノセカイ」がとてもよかった!)」「炎上する君(ふくだももこ監督)」ほかのも結構気になるなぁ!
やはりこのプロデューサーさんは私好み。

それから、これは完全に余談ですが、私は同じオフィスオーガスタのスキマスイッチのファンをしています(現在はゆる~くですが)。で、一昨年(かな?)行った武道館ライブが結構変わったもので、ストーリー性のある漫画をスクリーンに映し出しながら、BGM及びストーリー間の曲として生(生バンド演奏)で歌う、という企画だったんです(それもU-NEXTに上がってるので興味がある方は観てみてください←宣伝、笑。「Soundtrack」というライブ名です。実は私も最近観ました。漫画はオリジナルのストーリーで、構成がかなりうまくできています。普段映画を観ている私から見てもそう思いました)

その時、何故漫画なんだろうなぁ…実写にするお金がなかったのかな!?いや待てよ、実写映像に台詞(声)がつくと、生歌を聴きに来ているファンとしては台詞と歌が被ると歌が楽しめないからかな…?(漫画はすべて画だけで表現できるので。吹き出しがあるから)と思ったんですが、実写は秦くんがやったのか!と思った。(この映画自体は知っていたので、その時点で気づくべきだった。。)

生と映像の違いはあるので簡単には比較できませんが、個人的には映画っぽい実写のほうが好きかな?と思った。

…と、長々と書きましたが、こういう音楽と映像の融合みたいな事にわりと力を入れている音楽事務所だと思います。監督も役者も気鋭の方を採用しているあたりが「わかってる」というか。あと所属アーティストが映画やドラマの劇伴や主題歌を担当してたり(バイプレイヤーズシリーズなど)、役者のお仕事をやられてる方も居ます。山崎まさよしさんや竹原ピストルさんが御所属です。

前述の漫画の企画は時期的にコロナ禍でライブで声出しが難しいからっていうのはあったとは思うのですが(集客自体も)、本作の映画しかり、少し毛色が変わっている事にもわりと挑戦的に取り組まれていると思います。
映像って、制作にお金かかりますよね…集客がどれくらい見込めるかわからないものに出してくれるのが凄いと思う。勿論、映画ファンからの(音楽ユーザの)新規開拓も目論んでるとは思うんだけど(笑)

元々音楽から好きになった事務所でしたが、さらに好きになりました。これからも応援していきたいです!(何の決意表明、笑)
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