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ゴジラxコング 新たなる帝国のKuutaのレビュー・感想・評価

3.4
・1960、70年代の娯楽路線をリブートしている。1990、2000年代を再構築したキングオブモンスターズに続き、過去作への解像度は高い。日本のゴジラとのジャンルの棲み分けも、順調に出来ている。

・「こういうのでいい」「怪獣が暴れてればいい」というファンに甘え続けた結果、興行収入は低迷し、2004年をもって東宝はゴジラ製作を打ち切った。

私は好きなコンテンツを自滅させるオタクにはならないと肝に銘じてゴジラを見てきた。この映画は終わりの始まりかもしれない。苦い思いをうっすら感じながら、脳みそ空っぽで涙を流し、アメリカと中国で大評判とのニュースに、複雑な気持ちになるのだった。

・「ゴジラ対メガロ」のようだった。全体の緩さと2対2のプロレス。陰謀論ニキが「この遺跡はレムリア大陸より古い」と、トンデモ仮説を事実のように語っているが、メガロに出てくる人もレムリア大陸実在論者だった。こういうテンションで映画は進む。

コングがダーッする度に笑っていたし、ダーッに合わせてゴジラが海に飛び込む場面は泣きながら笑っていた。

・エジプトの戦いが一番良かった。ゴジラが元気すぎてコングがちょっと引いていた。散歩中に出くわした犬同士が、満足するまで戯れるのを見ている感覚だった。

・エジプトまではモンスターバースワースト?と思うほど見せ場がない。ゴジラは飯食ってるだけだし、人間パートは退屈。残るはオトコの違いを舎弟に見せつけるコングと、己の器の小ささを噛み締めるミニコング…。何の石を何の目的で運ばせてるのかわからないスカーキングもじわじわ来る

地下世界にはわれわれの日常と同じ人工物がなく、怪獣のスケールや重みが伝わりづらいので、のっぺりしたアニメを見ている感覚になってしまう。ここが一番痛い

・無重力バトルは楽しめた。「ゴジラvsコング」の感想で、コングが無重力を獲得したことはコングの映画史にとって革命だと書いたが、今作はそれをゴジラの戦いに拡張している。前作の海面と海中を往復するカメラ同様、「着ぐるみ特撮では表現不可能な怪獣バトル」をフルCGの力で描いている。「ゴジラの肩越しに切り返されるコング」といった怪獣擬人化ショットも増量している

(無重力のゴジラと言えば「ゴジラ対メガロ」のドロップキック。やはりメガロ的)

・原発から放射性物質を吸い込む姿は84年版のオマージュだろうか。尻尾を丸めるねこ鍋的なゴジラのビジュアルが気に入った方は「怪獣大戦争」をぜひ

・味方の某怪獣が昔から好きなので、出演作は点数が上がる傾向にある。それを加味してもこのくらいの評価です。ちょっと前半が退屈すぎた

モンスターバース個人的順位
①ゴジラ キング・オブ・モンスターズ
②キングコング:髑髏島の巨神
③ゴジラxコング 新たなる帝国
④GODZILLA ゴジラ
⑤ゴジラvsコング
コング抜きのシリアスバカをやり切った①KOMの異様さ。③〜⑤はどれも一長一短。②髑髏島は良いバランスだったんだけど、ジョーダン・ヴォート=ロバーツ監督は実写版ガンダムで忙しい様子。
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