この説教臭さすら感じられるタイトルを冠しているにも関わらず、むしろ宮崎駿が「俺はどう生きたか？」と自分に向けて問い掛けているような、悔悟しているような、そんな印象の作品だったことがとても不思議でした。
なのでこの映画はもしかしたら、「君たちはどう生きるか」という吉野源三郎の問い掛けに対する「私はこう生きましたよ」という返答なのかもしれない。
これまでの宮崎駿の作品が先に「こういうものをやりたい」というテーマがあったと仮定すると、今回のこれは「現在の宮崎駿の頭の中」を直接出力したらこうなった！という感じがしました。だから、これまでのジブリ作品のセルフオマージュ的な場面に溢れてる、という意見をよく見かけるのですが、むしろ逆で、それは「宮崎駿という人の手癖」なのではないか？と思います。
ここまでどストレートに宮崎駿自身の趣向、いや性癖と言ってもいいと思うのですが、今までのジブリ作品ではそれが作風から滲み出ていたのだとすれば、今作では「オラッ！ これが俺だ！！！」とあえてさらけ出してきたように受け取りました。
つまりこの映画は、ジャンルとしてジブリ映画というよりも、ジャンルもテーマも「宮崎駿」なんじゃないか、と。
そんなことを感じたからか、エンドロールで流れる米津玄師「地球儀」が凄い勢いでこちらの心を刺してきて、ほろほろと涙がこぼれました。本当に凄いな彼は。
