しゅうへい

みなに幸あれのしゅうへいのレビュー・感想・評価

みなに幸あれ(2023年製作の映画)
3.0
『みなに幸あれ』(2023)

「地球上の幸せには、限りがある──」

■看護学生の孫は、ひょんなことから田舎に住む祖父母に会いに行く。久しぶりの再会、家族水入らずで幸せな時間を過ごす。しかし、どこか違和感を覚える孫。祖父母の家には「何か」がいる。そしてある時から、人間の存在自体を揺るがすような根源的な恐怖が迫って来る…。

■KADOKAWA主催の一般公募フィルムコンペティション「第1回日本ホラー映画大賞」で大賞を受賞した下津優太の同名短編映画を下津自身がメガホンをとり、長編映画化。清水崇が総合プロデュースを手がけ、『ミンナのウタ』の角田ルミが脚本を担当した。古川琴音はこれがホラー映画初主演となる。R15+指定。

「誰かの不幸の上に、誰かの幸せは成り立っている」

人類の根源的なテーマを描き出す社会派ホラー。不快と狂気が充満する田舎を舞台に、ただ独り奮闘する長女。高齢化社会と田舎独特の同調圧力、観ていて辛いものがある。タイトルの“みなに”には希望と皮肉が込められており、テーマと矛盾が生じてしまうが、観客はその意味を徐々に理解していくこととなる。シュールなギャグと悪趣味なグロが入り混じる、観る人を選ぶホラー作品でした。

血塗れの古川琴音だけ観に行くのもアリ。

Japanese A24。ホラーゲーム『SIREN』に似たものを感じる。得体の知れない恐怖と、形容し難い異質な世界観。『MEN 同じ顔の男たち』を観た時以来の感覚。ホラーとしては好きだけど、映画としては良くはない。ただゲテモノ好きにはたまらない逸品。主演の古川琴音を除く俳優陣は皆どこか無機質で棒読み。役柄?演技力?妙なリアリティを生んでいた。全員狂ってる。製作費の都合上、全体的な安っぽさは否めない。

理想と現実、無知と搾取。前半は不気味なホラー・ミステリー、後半は不条理なギャグ・グロデスクに豹変。古今東西の気持ち悪い小ネタ大全集。ぶっちゃけ意味不明。今作における“幸せ”って結局何だったのか。謎が謎を呼び、謎のまま終わる。不快にさせたかっただけなら納得。今作に理屈は通用しない。考えるだけ無駄。こんな挑戦的な新感覚Jホラーを出されたら今後に期待しちゃう。本当に期待していいですか?
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