Trinity

怪物のTrinityのレビュー・感想・評価

怪物(2023年製作の映画)
4.5
ギリギリ滑り込みで映画館で観れたけど
映画館で観てよかった。
映画館は音響がいいから余計に引き込まれた。

展開がテンポ良く進むから飽きずに何なら引き込まれていった。
なになに?どういうこと?って考察しながら見れるような流れで凄くよかった。
いろんな人の視点を順番に描くのが分かりやすく比較しやすくとても良かった。
比較することで人によって捉え方も起こっていることも違う。
人は見えない部分を勘違いしたり言葉が足りなかったりと分かり合えないことは多い。

それぞれ抱えてる問題があって親であっても、教師であっても、子供であってもカテゴリーで区分したらその名称なだけであってみんな1人の人間として誰1人完璧な人はいない。
その中で余裕がなかったり偏った思考や理不尽な出来事、いろんなことに悩みながら生きてるわけで誰も悪くないし、みんな悪い。矛盾が生じるから難しいよね。

このことから言えるのはよくニュースで被害者側の意見が報じられて加害者が映されたりしている。片方の面からしか見ていなければ全てを理解することは出来ない。
もう片方の面から見たらそうせざる負えないような状況があったのかもしれないと思う。誰がいい悪い、正義、正解不正解、で全てを極端にまとめるのではなくて、何ならそこは当事者じゃない赤の他人には関係の無いことで大事なのは『何故それが起きたのか』をこの映画のように両方の面からどう感じてどう捉えたのかを知る必要があると思う。
そこを知らなければ未然に防ぐこともできなければ、改善策を考えることもできずまた繰り返すだけだと思う。

この映画はひとりひとりの複雑な感情を俳優陣みんなが繊細に表現していて本当に感動した。
特に湊と依里。あの歳であんま難しくて複雑な感情を表現できるのは天才だと思う。
彼らの演技と2人だけの空間の澄んでいる綺麗な空気には尊さを感じた。

子供のイジメって本当に残酷だよね。
学校っていう場所に閉じ込められてる2人よりもあの自然溢れる草むらを走り回ってる2人が輝いてた。
子供って本来あんなふうに伸び伸びあってほしいよね。
依里の虐められてるのに平気な風に能天気に自分を演じてる感じ凄く分かるし苦しかった。子供でも親があんな感じだと精神年齢が大人になっちゃうよね。
親と子供って切っても切り離せないしどうしても影響を与えてしまう。
完全にハッピーエンドじゃなくて未来を想像させる感じで終わったのは良かったと思う。
そんな簡単に全てが良くなることはない。
それでも受け入れていくしかないし、そんな社会で自分を確立して生きていって諦めずに明るい未来を見続けるしかないよね。それがリアル。

是枝監督の映画は本当に刺さる。本当に好き。
Trinity

Trinity