このレビューはネタバレを含みます
総評としては、
「邦画の1つの分岐点を見た」
と言う感覚でしょうか。
手放しで面白い!
と言うよりは、とても興味深いものを見たと言う印象
とある少年と母親の間に生まれた干渉について、様々な視点から描かれる事でその事件の全貌が明らかになると言う、サスペンス。
まず印象に残った点は、
長野の諏訪というロケ地を選んだ事の素晴らしさに尽きると思います。
景色の一つ一つがやたら綺麗で、
大林宣彦の尾道節に通じる物がありつつも、
物語の中心として影を落とし続ける諏訪湖の存在が、時に明るく、時に絶望の様にスクリーンを覆うカットが本当に印象的でした。
その他の印象的だったカットは、
大人→子供に視点が変わった瞬間に感じる
「アニメ感」
に尽きるかなと思いました。
前半の大人視点のシリアスなドラマシーンとは打って変わって、子供が主人公になった瞬間に、新○誠の映画かと思うほどの清涼感を放ち始める。
(狙ってるとは思うけど)
2人の象徴的な隠れ家としての廃電車も、すずめの戸締りを彷彿とさせるようなシーンの描き方だった。
とにかく前半と後半の映画の雰囲気が違いすぎて、観るのにめちゃくちゃ体力を要したので、今から観ようかなと思っている方は是非しっかりと睡眠を取って臨む事を進める(私はフリスクを20粒ほど食したが、たまに寝た)
ノンフィクション(的な問題)
とフィクション(アニメっぽさ)の融合を見た。
遂にエンタメもココまで来るのか…と思いました。
惜しむらくは、詰め込みすぎて話が長すぎたかな…と言う印象は否めなかった。
もう少し短くまとめられれば、とてつもないエンタメ作品になり得たかもしれないと思う。
人によっては、長ったらしくてつまらん。と思われても仕方ない感じは確かにある。(結構評価が分かれてるのはこの辺りかなと)
とにかく個人的には、凄く好きな映画ではありました。
90年代の映画の様な絶望と希望を2023年に観る事が出来て、私は今幸せだと言う事