ししまる

ロスト・フライトのししまるのレビュー・感想・評価

ロスト・フライト(2022年製作の映画)
3.7
シンガポール発東京行き航空機が落雷でコントロールを失い、フィリピンのホロ島に不時着し、2人が死亡。機長のトランス、護送中の殺人犯ら乗員乗客ら17人は助かったが、不時着したのは観光客を誘拐して身代金を要求する反政府組織が支配する無法地帯だった。
プロットは新鮮だけど、とてもシンプルな話。飛行機が落雷で飛べなくなるかどうかはさておき、ホロ島は実際に爆弾テロ事件や身代金目的の誘拐事件が多発しているので、妙にリアル。終盤の迫力もなかなか。緊急派遣チーム強すぎ。
✅メモ
原題は「Plane」。製作費2500万ドルに対し世界興行収入7450万ドル。撮影はプエルトリコで行われた。
フィリピンの上院議員らは本作が同国の観光業に損害を与える可能性があるとして上映禁止を主張。フィリピン映画監督組合は、上映禁止案は検閲に当たるとして反対した上で、本作は単なる無分別なB級映画エンターテイメントとした。配給会社は結局、自主的に公開を取り止めた。
続編となる「Ship」にマイク・コルターが引き続き出演すると発表された。
ホロ島は、フィリピンの南東部に位置する火山性の島。人口50万人。フィリピンのイスラム主義組織で米国がテロ組織に指定しているアブ・サヤフの最大の拠点の1つで、無法地帯となっている。身代金を目的として観光客を誘拐することもあり、身代金の分け前と引き換えに地元の役人や一般市民にも協力させているという。日本の外務省はホロ島を含むミンダナオ地域の中部以西に渡航中止勧告を出している。
劇中で登場する機材はマクドネル・ダグラスのMD-80シリーズ。
飛行機は「金属の箱」のようなものであるため、雷が直撃したとしても内部には伝わらない。フィンエアーによると、現在の航空機外板に使用されているアルミニウムの胴体は電気をよく通し、雷が航空機内部に影響を与えることはない。放電は航空機の外面に沿って前方に進み、通常は航空機の主翼の先端や翼面、尾翼から再び空中に排出される。2024年4月3日、宮崎発羽田行きのJAL694便が雷に2度直撃され、関西空港へと目的地を変更したが、乗客乗員は全員無事だった。
ただ1963年に発生したパンアメリカン航空214便墜落事故(乗員乗客81名が死亡)は落雷を受け、左翼燃料タンクの空気孔からもれて気化し、燃料に高電圧がかかったことにより、引火爆発、左翼端が失われ、燃料タンク内の燃料に引火して火災となり、墜落したとされている。
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