Eryyy678

ゴジラ-1.0のEryyy678のネタバレレビュー・内容・結末

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

「特攻」と言う名の美しさと、その呪い。
されど人々は死の散華に、夢を見るか。

タイトルもそうですが、その内容と併せてどうしても「零戦」を連想せずにはいられませんね。そしてこの映画は「ゴジラ」であり「戦後」であり、そして「戦中」の話なのかもしれません。
数多の″ゼロ″に思いを馳せるのも、その悲劇の中に、個人の人間というものを見出しているからでしょう。

「戦いはまだ、終わっちゃいない」

実に重く″鈍く″響く言葉です。
主人公には家族があった。その戦いの後に、確かに希望はあったのです。しかしあらゆる個が寸断された現代において、果たして戦いの後に何が残るのか、なんてことを考えてしまいます。

″そのゼロがマイナスになる″

現代だからこそ、沈痛さを伴うフレーズのように思います。緩やかな衰退を肌で感じながら、この国を憂う。それはただひたすら、マイナスの積み重ねでしかなかったように。戦後からの復興とは違う、それはある種の諦めの境地。

とはいえ、人々がその時代を必死に生きて、何かを生み出していくのは、いつの時代も変わらない。そしてそれを笑うべきではないのです。
Eryyy678

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