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最悪な子どもたちのragaのレビュー・感想・評価

最悪な子どもたち(2022年製作の映画)
3.0
低所得層の人びとが生活する団地を舞台に”あるドラマ” が撮影される。地元の子供たちをキャスティングした過程で、大人の撮影スタッフの至らなさ、子供の演者としてのもどかしさ、それぞれが葛藤する。虚実の境界の曖昧さが能動と受動へと連なり、幸せを求める思惑を提示していく。幸せは決して富裕の副産物ではなく万人が体感できる。本人の意思ではない既製品のようなモノを受け取るのではなく、失敗しながらも模索する意志に果報は訪れる。学校教育の一問一答ではない無数の答えを各人が試していく。物語はひとつの形として成立したものだが、観客はそれぞれの印象を抱く。決してひとつのアンサーを導くのではなく、当人の感想からどのような世界を見定めるのか。それぞれの世界、社会はその共通項からコネクトしていく。幸せとは人びとがお互いに交わすリスペクトを内包している。決して選別や排除で幸せは訪れない。虚実や能動受動の境界は無意味なのだ。分断よりも交流、その姿勢に本人の意思をしっかりと据えていること、その主題をカメラが映し出した子供たちから私たちは学ぶ。
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