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イタリア旅行のandesのレビュー・感想・評価

イタリア旅行(1953年製作の映画)
3.7
冒頭から「倦怠」を強烈に感じさせる主人公2人を観るだけの映画。それでも退屈に感じないのはイタリア旅行の方々で提示されるキャサリンの心象風景と、彼女自身=バーグマンの魅力があるため。
ヌーベルバーグに影響を与えたらしい、断片的なエピソードが点で作用するような感覚は当時としては斬新だったかも。今見ると逆にクラシックになってしまったのは先駆者ゆえの宿命だろう。
バーグマンが観光する先が「死」を感じさせる場所ばかりで、分かりやすく心情を表しているが、夫がどうも掴みにくく皮肉はあっても意志が感じられない。まぁ、このへんはリアルなのかもしれない。
結構、示唆的なショットに溢れており、男女、金持ちと貧乏人、母と子、とキーワードは画面上に出てくる。そして、いよいよラスト、あからさまな「死」を目の当たりにして、終局かと思いきや一発逆転。冒頭「倦怠」が表されていた自動車をおりて、祭りにより2人は「生まれかわる」のである。分かりやすく音楽もかかる。
唐突なラストは映像的にはいい感じだが、やや強引な印象もある。人によってはハマると思う。自分はまずまず。
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