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愛しのタチアナのandesのレビュー・感想・評価

愛しのタチアナ(1994年製作の映画)
4.0
オフビートなロード・ムービーにとどまらず、しっかり「人生のキツさ」を描いている点で凡百を置き去りにしている良作。最後までみると、冒頭の2カットがたまらなく切なく感じる。
ダメダメな男2人がとにかく愛おしいのはカウリスマキならでは。ダメダメだけど、彼らは真面目に仕事をして頑張って生きているのである。そしてシャイだけど誠実である。
突然の恋で分岐する男2人。愛する女と暮らして「ロッカー」をやめて「小説家」になるペロンパーと、家に帰るしかないヴァルト。最後(と最初)の「妄想」が本当に泣ける。繰り返されるコーヒーメーカーの描写が効いている。泣ける。短いながら、こんなにも豊かな映画ができるのかと感動する。
全編にわたる音楽への愛も心地いい。しっかり、ペロンパーが音楽を愛しているキャラクターなのが伝わってるので、嫌味じゃない(革ジャン姿がダサくてカッコよくて最高!)。自意識過剰で既製の楽曲を使おうとする二流監督には到底出来ない高みにある。
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