ちこちゃん

ウェルカム トゥ ダリのちこちゃんのレビュー・感想・評価

ウェルカム トゥ ダリ(2022年製作の映画)
4.0
原題は 「Dali land 」その名の通り、ダリの世界を描いています。
どちらかというと、ダリの人なり、そしてある種常軌を逸した日常、そして人生を画廊の勤める若きジェームスの視点で語られます

ダリを語る上で、多分欠かせないのが妻ガラでしょう。ガラはダリの創造性を活性化させる源であり、女神であり、マネジャーであり、支配者でもありました。 友人の詩人の妻であったガラとお互い共鳴しあうのです
他者から見ると、若い男に貢ぎ、金の亡者であるガラは悪妻ということになるのでしょうが、人がどう思おうと関係はありません。ダリにとってガラは全てであり、自分の芸術を生み出すためには、不可欠な存在だったのです。
映画の中で、ダリはガラの中に自分と同じものを見つけた、と言っています
それが証拠に、ガラが亡くなってからは、ダリは絵を書くことができなくなり、晩年は寂しいものであったことも描かれます。

このダリの生活や人生を異常であると言ってしまうこともできると思います。でも、何かを生み出すためには、エネルギーが必要であり、インプットが無ければ、芸術のアウトプットも出来ないでしょう。
そのように考えると、芸術家によって違うとは思いますが、怒り、美への憧憬、自らの劣等感、などなど、なんらかの創造するための情熱を動かすものが必要なのではないかも思います。それがダリの場合は、性の倒錯であり、若さへの嫉妬や、愛情への枯渇などであったということだと思います。

ダリの人生に触れて、また、ダリの作品を見たり、ダリ美術館を訪れたりしたくなりました。

ダリとガラが出会った2人にとって大切な海辺の街の風景も素敵でした
そしてダリ役のベン•キングズレーがダリにしか見えませんでした。目の見開き方など、そっくりです!
ちこちゃん

ちこちゃん