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ボーンズ アンド オールのninaのレビュー・感想・評価

ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)
4.5
「僕を食べて愛してくれ」

ん〜衝撃!!!カニバリズムのお話とは理解していたが、初っ端から肉が崩れる描写が出てきて攻めてんなぁと思った。
全体的に血が出るシーンが多いのに不思議と血なまぐさい印象にはならなくて、オシャレなロードムービーになってるのはなんでなん?????雰囲気から好きです。

生まれつき人を食べてしまう衝動があるマレンは、同級生や身近な人に危害を加えてしまう度父親と転々と引越しを続けていたが、遂に父親に見放され、自分と同じ衝動を持つ母を探す旅にでる。その道中、同じように人を食べて生きている人たちに出会ってっていうストーリーなんだけど、開始20分後くらいに出てくるティモシーがすんごいの。ティモシーがシャラメしてた、とにかく私が今まで見たティモシー作品の中でどストライクなくらいに孤独で、それでいて愛を欲しがる青年を見事に演じててやられました。
特殊な衝動を抱えた者同士が寄り添って、自分の中の葛藤が大きすぎるあまり時にはぶつかって、2人で不器用にドライブしている様子は一生観れるってくらい好きだった。
2人が出会った背景とか、一緒にいる意味を考えたら決して祝福できるのものではないけど、それでも2人を観ているとどうか幸せに…と願いながら観ずにはいられなかった。

ただこの映画の最大のポイントは、鑑賞中常に心臓をザラザラ撫でられてるような感覚が付き纏ってくること。2人が持つ衝動もそうだし、マレンが1人でいる時に出会ったサリーもそうだし、川辺で出会った2人組のことも。幸せそうな2人を見ていても安心できなくて、それらが脳内の片隅にこびり付いて離れない。じんわり嫌な気持ちにさせるのが上手でした。
ラスト20分は、ほんとにそのジンワリを一気に解き放ってきて、そうくるかぁ!!!ってなった。でもあの演出があったからこそ、ラストシーンがより一層美しく見えたんかなぁと。
共感されにくいテーマだけど、見事に一般人の胸にも染み込むような作りになっていて、結構すきでした。また観ます👀
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