今まで観たコーエン兄弟の作品で1番難解。ネットを漁ってみると出るわ出るわ様々な考察が。
旧約聖書がー
哲学がー
全体主義への批判がー
と、作品の行間を読んで愉しみたい人にはメタファーの宝庫かも。
1941年。ブロードウェイで高く評価された劇作家のバートン・フィンク(ジョン・タトゥーロ)は、ハリウッドの大手プロダクションからオファーを受け、LAのとあるホテルで映画脚本の執筆を始める。
馴染みのない、レスリング映画の脚本の執筆がなかなか捗らないバートン。
暑くてじめじめと湿気が立ち込めるホテルの一室。蚊の羽音。剥がれ落ちてくる壁紙。
不快な住環境で、バートンは苛立ちを募らせる。
隣室の大男、保健の外交員だというチャーリー(ジョン・グッドマン)はバートンにとってLAでの唯一の友人となる。
ジョン・タトゥーロのギョロ目は、神経質なバートンのイメージにピッタリ。
そして、ジョン・グッドマンの笑顔である。好きだわ。この笑顔が終盤は全く違った見え方をしてくるから面白い。
ホテルマン役にスティーヴ・ブシェミ。不条理なドラマに彼のブサイクな顔が絶妙なスパイスに。
ふー。
それにしても難しい。
中盤以降、サスペンスへの転調は面白いのだが、常識的には理解し難い出来事の連続に戸惑ってしまう。
チャーリーはバートンの分身?妄想?
殺人事件の捜査の為に訪れた2人の刑事も妄想?
そもそも、ホテルそのものがバートンの精神世界?
チャーリーとバートンの靴の取り違えがヒントになっている事は、何となく理解出来た。バートンの部屋の壁紙が剥がれるのは、チャーリーが訴える耳垂れの象徴だと捉えると、ホテルそのものがバートンの想像の産物だというのも頷ける。
どう考えても常軌を逸した、炎に包まれる中でのチャーリーの立ち回りも、全て妄想??
正解はわからないけど、炎の中のチャーリーは痛快極まりなくて、画としてはめちゃんこ見応えがある。
でも、完全な理解とは程遠いな…。
1つ前の「ヤング・アダルト・ニューヨーク」より更に難解で、二連敗を喫してしまった。