ひるるく

SHE SAID/シー・セッド その名を暴けのひるるくのレビュー・感想・評価

4.1
日本中が連日のジャニーズ報道に揺れる中、真っ先に連想してしまう事件を描いた本作がタイミング良くアマプラにきたので鑑賞。

#MeToo運動のきっかけとなったハリウッドの大物プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインの女性に対するセクハラや性的暴行を告発したNYタイムズの女性記者2人の奮闘を描いた衝撃の実話を映画化。

終始、被害者女性や関係者に対する丁寧で根気のいる電話や直接での聞き込み取材を軸としたドキュメンタリー調なのでストーリー展開が平坦に感じられる部分もありましたが、時折、2人の女性記者の妻であり母であるプライベートや被害者女性の過去の回想を差し挟む事よって展開がだれること無く緩急がつき、この実話で闘った女性達を等身大の普通の人達としてヒロイックにも描かず、性描写など映画的でセンセーショナルな映像の表現を排する事で、本当にタイトルの"SHE SAID "が示す通り彼女達の"声 "が淡々と真実を重みを持って浮かび上がらせる見事な脚色だと思いました。

そして本作を見て冒頭でも触れたジャニーズと酷似した性加害を誘発する構造上の問題に考えさせられました。

ワインスタインの場合は示談に収めて仮にまた訴えようとした場合は秘密保持契約を盾に口封じする法の構造を悪用しましたが、両者ともに共通するのはメディアや周囲の忖度だと思います。

数字を持っている権力者には何もショービズに限らず、例えば政財界でも派閥の領袖や経営者などに自分達の有権者の民意や社員の願望を託し実現させる意味でもある程度の忖度や便宜を図る事は理解出来ますが、その権力を笠に着て性加害など人権侵害を行う人物に自分達の利益に繋がるからと"一線を越えて"忖度するのはまた別問題、黙殺して来たメディアには心から反吐が出ますね、本来は第4の権力と呼ばれこの作品の様に告発しなければならない立場が権力者と結託している構造。

先日のジャニーズの記者会見を見ても実質は100%オーナーが株主の企業に変わりはなく新社長も親族の様なもの、社名も変更せず、結局は旧体制のままですが何か問題でも?と開き直り反省してるとも思えません、本当に馬鹿にするのもいい加減にしろです。
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