のんchan

素晴らしき眺め/奇跡の眺めののんchanのレビュー・感想・評価

3.8
『薬の神じゃない!』のウェン・ムーイエ監督の長編2作目。
主演は『少年の君』のジャクソン・イー(イー・ヤンチェンシー:正統派イケメンアイドル)って、気になるではないですか?

前作は生活のために未認可薬を密輸した男が、図らずも患者たちの救世主となっていく話だったが、この作品も同様にチームで密輸計画に取り組む部分や、中国社会の現実を反映したリアリティのあるバックグラウンドは一緒。
日本人からすると少し大袈裟な演技にも見えるけど、そこがハートフルコメディの良さでもあり、ジーンとさせられるサクセスストーリーに仕上がっていました。


シングルマザーで子供たちを育ててきた母親が心臓病で亡くなり、20歳の兄ハオはまだ6歳の妹タンタンを養うため大学を中退する。深圳で小さなスマホ修理屋を営んでいたが、競争が激化し売り上げが上がらず家賃滞納を繰り返していた。
そんな時、先天性の心臓病を持つタンタンは8歳までに手術を受けないと命が危険と医者から伝えられる。その手術代が35万元(700万円)必要になる。
そこでハオは不良品となった新品スマホを大量に買い付け修理し、大手携帯電話会社に売ることを思い付く。何度も交渉していく中でトップから80万元(1600万円)で買取の約束を取り付けるが、その条件として良品率85%以上とし、納品まで手付金支払いもゼロという厳しい条件をクリアしなければならない...大きな賭博のようなものだが、そこは人情だけが頼りのハオを応援する人たちが集まってくるのだった。


実話ではないものの、監督が深圳の大都市を調査、聞き込みをする中で出会った人々の要素を取り込んで、それぞれのキャラクターを作り上げている。
実際にチャイニーズドリームを手にする人が深圳には珍しくないのだろう。

ジャクソン・イーの熱演、可愛らしい子役、ベテランの脇役たちがそれぞれ相まって温かみと味わいを見せていました。

主題曲はアンディ・ラウ作詞でヒットしたデュエット曲。
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