ひろゆき

窓辺にてのひろゆきのレビュー・感想・評価

窓辺にて(2022年製作の映画)
3.7
銀幕短評(#679)

「窓辺にて」
2022年、日本。2時間23分。

総合評価 74点。

今泉監督グッドですね。ひさしぶりに「街の上で」84点の作風の復活です。つまり、ムダな長回しと冗長なセリフ回しとをトコトン駆使している。作中の彼はいいますね、時間は無限にあると。監督はそう信じているのだとわかる。わたしもほんとうにそう思いますよ。

あと、セリフの何気ない組み立てがいい。奇抜ではない 聞きなれた こなれないセリフたち。アタマでよく考えていない、つい口をつく不用意なコトバ。ふつう、映画では ものがたりの無二の展開と予想できないセリフのたたみかけをもくろむわけですが、この映画ではそれらの邪心がない。すべて想定範囲内で自然体なスジのすすみと、だれでも使う平易な会話の進行が続く。論理がかみあうときと ずれるときが、もちろんある。平凡なわたしの人生でも、かれらの会話のほぼすべてを口にのぼせるように思えます。ひょうひょうとした筋運びと、その時代を投影した平凡なセリフの羅列。このテンプレートで、かれは令和の小津安二郎を目指しているのかもしれない、という気がします。


妻の不貞に対する夫の感情については、「猿楽町で会いましょう」で書きました。
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