月うさぎ

デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリームの月うさぎのレビュー・感想・評価

4.0
デヴィッド・ボウイの初の公認ドキュメンタリー映画
非常に期待して鑑賞。
こういうアプローチは初めてでした。
ボウイを知る、解釈するというガイドにはほぼなってません。
これだけでアート作品
彼を理解するというより、ますます迷路にぶち込まれた感じ。
ボウイの頭の中は彼自身のナレーションで構築されており、ある程度時系列も追えますが、繰り返しの映像もあって、彼の人生を知らないと分からない部分も多い。
言ってる事が哲学的すぎて字幕を読んでても理解が追いつかない。
彼の中に湧き上がるイマジネーションを映像により少しでも共有できるとか、シンプルなメッセージは伝わります。
例えば「一日を無駄に過ごしたくない」
「夢を叶えるには実現のための過程を楽しまないとダメだ」とか
その意識の高さを実感できます
彼の知識の元にあるさまざまな映画や自己表現としての絵画の数々をコラージュ
サブリミナルか?ってくらいの詰め込みなんですよ〜。
とてもとても拾いきれません。
せめて彼の出演映画とPV位は押さえておかないと映像の意味がわからないのでは…
なんのかんのいっても構成や演出、選ばれた言葉にも映画監督の意図や解釈が入っていると思いますし。

ボウイの思想の背景に多くの読書も意味があり、SFにも造詣が深い
なので映画のチョイスもSFの名画が多く観られました。が、もっと古いものは分からなかった〜😓

おそらく映画の中で最高にエモーショナルな部分はHeroesのLIVEのフル演奏
映画館の音響で聴ける幸せ❤️
そして激レアなのは彼の演劇の映像
「エレファント・マン」の演技を映像で観られるとは!
日本人なら宝焼酎“純”のTVCM(1980)と『戦メリ』からの素顔の美しさ、日本語での「どういたしまして」にはテンションアップするでしょう。

しかし「Tin Machine」はまるッとないことになってるし、妻もイマンさんは出てくるけれどアンジーと息子のゾウイ(ダンカン・ジョーンズ監督!)もいないが如く、ブライアン・イーノは出てくるけどイギー・ポップとのコラボも無かったことに…といった謎だか忖度だかもあってですね〜

ボウイは多面的な存在なので見る人により全部異なるボウイが存在することになります。
どなたかが映画にするならダンカン・ジョーンズ監督(息子さんね)に撮らせたいと言っていたのですが、本作は本作として、ここに抜けている全てを彼なら描けるはずなので、ぜひいつか、今後のどこかでやって欲しいと願います。
ゾウイ君はボウイが自ら育てた大切な後継者です。SF映画、日本文化他、批判精神も含めて非常に近い存在ですから。

ボウイの事を知りたいなら、回顧展「DAVID BOWIE is」の方が完璧だと思います。
あの時(ロンドン展)は彼はまだ存命で、だから is なのです。
月うさぎ

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