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ミセス・ハリス、パリへ行くのyukoのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

新年の映画初めにぴったりの、子供から大人までが安心して楽しめる素敵な映画でした。

時代は1950年代、イギリス人家政婦のハリスおばさんが、たまたま仕事先のお金持ちの家で見たディオールのドレスに感動して、パリのディオールへドレスを買いに行くお話。

戦争に行った(第二次世界大戦?)愛する夫を待ちながら、家政婦をして生活しているハリスおばさんには、高価なドレスを買うお金は無いのだけれど、おばさんがドレスが欲しいと思ってから、運や普段から積んでいる徳(めちゃくちゃ良い人)のお陰で、なんとお金が貯まるのです笑

パリへ行ってからも大変で、ディオールが家政婦のおばさんにドレスを売るどころか、お店の中にも入れないんだけどそこでもおばさんの、運と徳で(パリへ行っても良い人)中に入ってショーを見られることに。当時のディオールは、お金持ちのお得意様しかショーに招待せず、さらにショーで披露したドレスは1点のみの販売で、買った人のサイズに合わせて仕立てられるという、これが本当のオートクチュールか…!と変なところで感心してしまった。

しかし、お金持ちの意地悪な人に嫌がらせをされたり、ディオールのメゾンの支配人にどうにかして追い出されそうになるのだけど、そこもおばさんの運と積んできた徳と家政婦の技術で、ディオールのドレスを縫ってるお針子さん(プライドを持って働いている職人さん)や働いている人たちにに応援されて、ドレスを作ってもらえることに。

さらにはディオールを解雇された労働者のために立ち上がり、若かりし日のイヴ・サンローランがモデルであろう会計係の青年を焚き付け、ディオールの経営危機も救い、労働者の解雇も阻止するという笑 (とにかくおばさんはおせっかい、敵も味方も巻き込んでみんなで幸せになろうとする)

一見ファンタジックなお話なんだけど、話の軸にサルトルの実存主義の話が出てきたり、ディオールの当時のドレスや制作の現場を見られたり、50年代のイギリスやパリの街並みや生活をリアルに感じられたり、ディオールのオートクチュールからプレタポルテへの変換期と、話の本筋とは別のところでも考えさせられたり、楽しんだり出来る映画です。

原作は70年代の小説だけど、映画では少し今ぽく、ショーに黒人やアジア人が出てきたり、モデルの女の子の夢も少し違くなってたりするけど、それが今の時代には違和感なく受け入れられるポイントかも。(結構保守的なとこもあるけど)
また、ハリスおばさんやその友達の労働者、彼女たちがしている仕事を「透明な存在」という言葉で表しているところが何回かあって、それにもおばさんはめげずに前に進んでいく。フェミニズム映画としても見ることができます。

私ももうおばさんなので、ハリスおばさんに感情移入して泣いちゃった笑
最後ハッピーエンドでしょ?と思って見てても、最後の最後までどんなハッピーエンドかは分からない(のは私の心が汚れているからもだけど)から楽しめますよ笑
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