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CLOSE/クロースのsatoshiのレビュー・感想・評価

CLOSE/クロース(2022年製作の映画)
3.8
 思春期のときにずっと友達だった人に辛く当たってしまうことがあります。本作のレオのように、ずっとレミと一緒であることをクラスメイトにからかわれ、嫌だから距離を置く。しかし、レミはそこを理解してくれなくてずっとかまってくる。それがウザい。だから突き放す。普通なら後でレオが謝れば全て解決するはず。しかし、本作ではある悲劇が起こってしまい、レオは罪の意識を背負い生きることとなります。

 本作は思春期の少年が学校という集団で過ごす描写がとてもリアル。レミとは別の友達の影響でアイスホッケーをはじめ、そのコミュニティに属したことで若干マッチョなノリになっていくところとか正にそうで、あの時代は、それまで普通に仲良くしていた存在が全く違うコミュニティに属することで疎遠になっていく、みたいな点をちゃんと描いていた。普通ならば、ここで適切な距離を学び、あの2人は元のような大親友ではないかもしれないけど、顔見知りくらいにはなれたはず。しかし、不意の永遠の別れにより、それすら叶わなくなった。

 レオ役のエデン・ダンブリンが素晴らしい。レミが亡くなり、罪の意識と喪失を抱えつつ、それをため込んでいるのが演技で伝わる。だから途中から、見てて本当にいたたまれなくなってくる。特にアイスホッケーに打ち込んでいるくだりは、自分を痛めつけているようにも見えた。また、最後、本当の意味でレミと別れ、こちら側を見る姿を見たとき、大人になった瞬間が捉えられていたと思う。ようやく前に進むんだな、と思ったし、こういう傷を経て前に進むのが人生だよなとも思った。

 本作は撮影も素晴らしかった。画面の配置や撮り方でレオとレミの関係性に微妙に変化が起きていることが分かるようになっていたし、天候すら味方につけて彼らの心情を表現していたと思う。
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