キラ

さかなのこのキラのレビュー・感想・評価

さかなのこ(2022年製作の映画)
4.7
素晴らしい。
幸せな気持ちになりました。

ミー坊と、優しい世界。

窓ガラスが割れてラクガキも放置されている高校で「総長」とすぐに仲良しになるのがとてもツボでした。ケンカにも勝ってしまう、最強なミー坊。「普通って何?」は名言。

ラストでは、今のミー坊がいるのは周りのひとに恵まれて、愛され応援されたからこそだ、というメッセージを強く感じました。ご本人がそう思っていること自体が謙虚で素晴らしいことだなと。本作の原作はさかなクンの自伝。

どんなに素敵なご縁があっても見逃したり無碍にしてしまうことはきっとあるのに。そもそもきっと自分の好きなことに只管真っ直ぐなミー坊(さかなクン)だからこそ周りが応援したくなるんですよね。才能に加えて、その応援に応えて感謝を忘れない姿勢。だからこそ更に応援され、愛され、舞い込んだ仕事に全力で取り組んで、、という素敵な循環を感じました。

この映画が多くを語りすぎていないところも好きです。

さかなクンのことはTVで知っている程度でしたが、彼がお魚一筋で来れたのはお母さまのおかげというのは何となく聞いたことがあり。私も親になるなら型に嵌めず、子どもの才能を最大限に伸ばせるような親になりたいなと漠然と思っていましたが、この映画を観るとそれは思った以上に物凄く大変なことですね。。

我が子のために毎週末の水族館、だけでも少々大変なように思いますが、何より見知らぬ「ギョギョおじさん」の家に小学生ひとりで行って良いよとは、なかなか許可してあげられないと思う。。(ダメだと止めたとて、それを聞き入れるかどうかも子ども次第かもしれないけれど。)

そして大学の教授、名誉博士であるさかなクンご自身が実は大学院だけでなく大学も通っていないという事実は、この映画をきっかけに検索して初めて知りました。私が親ならできる限り学力は伸ばして進学してほしいと思ってしまうかもしれない、才能はあるのだからと。。それは親が安心したいがためであって、子のためになるかは分からないのにね。

井川遥演じるお母さまは夫に敬語を使うひとで、終始、少し疲れた表情に見えました。夫とぶつかっても尚、とことんミー坊を信じて尊重して味方でいてくれたことは本当に大きいことだと思います。

「一度しかない人生なんだもの。自分の決めたことがいちばんよ」

「広い海に出てごらんなさい」
キラ

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