10円様

さかなのこの10円様のレビュー・感想・評価

さかなのこ(2022年製作の映画)
3.8
 「好きこそ物の上手なれ」
 さかなクンはそれの究極形だと思います。
 一つの事に心血を注いだからこその現在のさかなクン。東京海洋大学の客員教授という肩書きも、クニマス発見の功績も、さかなクンにとっては必然的にただくっついて来たものだと思います。初めに辿り着く目標を決めて物事に取り組む。苦労の道が楽や悦になった時、もう目標なんてどうでも良くなるんですよね。ただそれがやりたい!ってだけで功績は後からついてくるもんなんだ。皆でそんなさかなクンを目指そう🐟‼️

 勉強も全く出来ないさかなクン。でもお父さんは囲碁棋士の宮沢吾朗九段。囲碁はよく分からないけど、九段っていったらめちゃくちゃ凄いという事は分かります。なのでさかなクンは素養や教養はもともとあったのでは?と思います。しかも宮沢吾朗九段も囲碁界では棋風が異端、非常識って事らしいので血は争えんかな?ってのも面白いですね😊

 本作なんですが、「さかなクン」を「さかなチャン」として描いたわけではないんですね😅能年玲奈【のんとは言わない!私は能年玲奈って名前が好きなんだ‼️】のキャラクターはとても良かったけど、わざわざ女優をキャスティングする意味があまり分かりませんでした。
 つまりだよ。能年ミー坊は柳楽ヒヨと一緒にお風呂入ったりするんですよね……

 やけに面白い映画だなと思い調べると、監督は沖田修一と言う事でオフビートの成せる技に納得。不良達との港でのイザコザも、お父さんがいきなりタコをシメるシーンも沖田節でした。さらには現実に同級生だった鈴木拓が出てくる所もプチサプライズでしたね😊そしてとても奇妙でいて且つ郷愁を誘ったギョギョおじさんとミー坊が初めて出会うシーン。まず構図が本当に凄い!何か怪しげな人が登場。それがシルエットだけで明らかにさかなクンと分かるのが、これからミー坊が自分の人生に覚醒する事への示唆と観客が心で理解する見事な絵だと思います。あのシーンの写真欲しいなぁ😊

 特に大きな波瀾はなくゆったりとミー坊の軌跡を辿って行ったような映画ですが、何と言ってもミー坊が周囲の人の人生まで良い方向に変え、記憶に残るっている所が「横道世之介」に似ていたりもしましたね。
 
 伝記映画ってのは元になっている人の世間の評価が映画の評価に少なからず関係してくると思います。また作品の良さがモデルのイメージアップに繋がる事もあります。
例えば「ハダカの美奈子」を観てごらんなさい。評判の悪い美奈子が、ただでさえ出来の悪い映画をさらに格下げしてしまいました。
 
 本作はそれの真逆ですよね。

 最高の監督が最高の人間の映画を最高の俳優を使って作ったんです。ちょっと反則的でしたが美奈子に比べれば許せますね。

 これからも頑張れさかなクン‼️
 
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