上映時間は短いはずなのに、集中して観るのにとても苦労した....。『トップガン マーヴェリック』を成功させた監督だけど、あれはトム・クルーズの功績が異常に大きかったのだなと確信してしまう結果に。
提示された設定以上のものが何も起こらないとても退屈なSFだった。「囚人を孤島に監禁して感情を操る薬の治験を行う」をベースに、そこからガラッと景色が一変するような驚きも無く終わっていった。だとしたら世界観でもっと楽しめたらよかったのだけど、そこも地味めだし何よりモロに『エクス・マキナ』っぽいので、単調な印象は最後まで拭えなかった。
システムへの反逆とか過去からの再生みたいな超普通の話をこのクオリティで2022年にやることのどこに勝算があったのかもよく分からない。
感情操り実験大喜利のバラエティで逃げ切るためにも、短編（例えば『ブラック・ミラー』の1エピソードとか）ならば楽しめたかもしれない。だけど、100分超えの長編に引き伸ばすには薄く思ってしまった。
近未来的なのに一番ジャンル映画的にワクワクするのが引き出しタイムリミットアクションなのもどうなのか。
クリス・ヘムズワース演じるスティーヴのキャラクターも魅力が無い。冷徹なのかと思えば騒ぐし、知的なのかと思えば隙を見せたりする。多面性ではなく一貫性が無い感じ。
クリヘムは鍛えまくった体を活かしたアクションか、素質としてあるコメディを軸に据えた演技のほうが絶対にいいと思う。俳優として色々な役をやるのは素晴らしいし当然のことかもしれないけど、ソーで得た人気と名声のまま逃げ切るもの一つの手ではない？
