ごじゃ

じゃりン子チエのごじゃのネタバレレビュー・内容・結末

じゃりン子チエ(1981年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

古き良き日本のアニメ。東宝長編映画第一弾『白蛇伝』から20年余り、ディズニーのフルアニメーションとは異なる日本独自のスタイルが一つ完成している。絵はとても平面的で、ディズニーのようなストレッチアンドスクウォッシュもない。しかし、日常の所作、キャラクターの癖を記号化し、分かりやすくアニメーションに落とし込むことでキャラクターに見事に生命を吹き込んでいる。ディズニーの過剰に誇張した動きによる生命感ではなく、観客に生活の経験を想起させ、それによってキャラクターをリアリティのある生命として観客の心中に立ち上がらせているのである。
ディズニーの生命感の創出には、動きの過度な誇張により、単純な強い心情を表象するという傾向がある。つまり、複雑な心情を表現することが難しいのである。今作の主人公は大人に負けず劣らずの少女、チエである。一見彼女の強い意志や、まっすぐな性格を見ると、ディズニーの生命感の創出にぴったりのように思える。しかし、父親と母親の仲を取り持とうとしたり、時には年相応に悩んだり、甘えたりする彼女の感情の機微を十分に描くのはきっと難しいだろう。所作を丁寧に描いているからこそ、キャラクター、そして映画全体に深みが出ているのだと思われる。
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