Hara

PLAN 75のHaraのレビュー・感想・評価

PLAN 75(2022年製作の映画)
3.8
清貧と言う言葉がぴったりの倍賞千恵子演じるミチさん。
どちらかと言うと要領の悪い、損をする人生を送って来たんだろう。
結果仕事はなくなり蓄えも底をつき、住むところさえも失おうとしている。

何十年も親族との繫りを断ち地方を渡り歩く生活をして来たヒロムの伯父岡部さん。
無口で人付き合いがうまくなく、孤独な人生を送って来たんだろう。
その部屋の佇まいは終の住処としては詫びしいかも知れないが、決して乱れたものではない。

そのお二人のセリフ、セリフの間、表情、空気感は圧倒的で映画を観ながら「自分だったら、、、」などと考える隙も無かった。

人との繫りを信じ前を向くミチさん。
孤独のまま静かに眠りにつく岡部さん。
女性の老いと男性の老いの違いにも思える。

セリフは最小限で観るものの感性に委ねられる余白が多い。
それはある意味やっかいな事で鑑賞後色々考えなきゃいけない。

で考えるのは当然「自分だったら、、、」

75才になってやりたい事がなくなったら。
それでも「もういいや」の踏ん切りはなかなかつかないのでは。

やりたい事が出来なくなったら。
金銭的、肉体的、原因は色々あれどひょっとしたらPLAN75を選ぶかも。

不治の病に冒されたら。
高い確率でPLAN75を選ぶでしょ。

だけど

PLAN75は75才以上の人の特権?
若くても死にたい人はいるだろうし、もがきながら頑張ってる人もたくさんいるでしょう。
PLAN75って結局自死を認める制度。
自死は認めるべき事ではないと思う。
あたりまえの事か。

ただ言えるのはこれからの老後は他力をあてにしてはいけない。
自身で少しずつでも資産形成をするしかない。
とは思う。

などと映画から離れた事まで考えさせられる作品でした。
Hara

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