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たまらん坂
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目次

たまらん坂の作品紹介

たまらん坂のあらすじ

小雨降る秋の日、女子大生ひな子(渡辺雛子)が寺の境内を歩いている。毎年、母の命日には父の圭一(古舘寛治)と墓参りに訪れていたのだが今年はひな子一人であった。ふと母の墓前に一輪のコスモスの花が供えられているのが目にとまる。母が亡くなってから17年、祖父母も鬼籍に入っており他人の影を感じることはなかったひな子は不審に思う。携帯電話が鳴る。受話器の向こう側では飛行機が欠航になり墓参りには来られないことを告げた上で、「たまらん」と漏らす圭一の声が聞こえる…。

たまらん坂の監督

たまらん坂の出演者

原題
公式サイト
https://tamaranzaka.com/
製作年
2019年
製作国
日本
上映時間
86分

『たまらん坂』に投稿された感想・評価

ワンコ

ワンコの感想・評価

4.2
【記憶】

土地の名前に隠された記憶と、人の心の奥底に閉じ込められた記憶を絡め、対比させながら綴られた物語だ。

中学生の時に、住んでいた田舎の街や地域の何かをモチーフに作文を書くという課題が出されたことがあった。

僕の住んでいた地域は、ずっと昔は村で、アイヌ語に当て字をした地名が村の名前になっていた。
調べると、同じ読み方のアイヌ由来の地名は他にもあって、当て字が違うというケースがあった。
僕は作文に、ずっと昔、現代の日本人のルーツとなる人々が北上し、アイヌの人たちを蝦夷地に追いやったが、地名にはアイヌの人たちが住んでいたことを記憶として留めたこと、こんなアイヌ由来の地名は北海道以外にも日本には少なくないこと、そして、そんな地名を名字にした人たちもいることなどを書いた。

確か、地域のなんかの賞に提出されて、なんかささやかな賞をもらったような記憶があるが、当時の国語の先生がとにかく大嫌いで、そいつ経由で知らせがあったせいか、あまり覚えていないというのが、僕の話のオチだ。

「たまらん坂」という黒井千次さんの短編は知らなかったが、映画の序盤で、RCサクセションの「多摩蘭坂」が紹介されたは時、「あっ」と声をあげそうになった。

これは知っている!

そこから結構集中して観た。

そして、自宅に帰ってからKindleにダウンロードして、「武蔵野短編集 たまらん坂」を読んだ。

舞台挨拶で、黒井さんも登場して、原作に囚われずに自由に映画を作ってと激励したというエピソードが紹介されたが、この映画は、原作の地名の不思議な経緯(いきさつ)と、ひな子の、書き換えられたわけではないが、曖昧な記憶が重なるようで、不思議な対比となって、物語に面白さを与えていると思う。

黒井さんの「たまらん坂」も結局のところ、名前の由来にこれだというはっきりしたものが見出されたわけではなかったのだ。

終盤のストーリーには、もう少し違うアプローチはなかったかなんて思ったが、好感度は高い作品だった。

NHKのファミリー・ヒストリーのような番組もあるが、自分の住んでいた街や地域のヒストリーを知ることも、もしかしたら、個人のアイデンティティの一部になるかもしれない。

そんなふうに思った。

主演の新人の女優さんは、眼に力があって良かった。舞台挨拶では、いたって普通の雰囲気の女性だった。緊張していたのだと思う。

俳優業、頑張って続けてほしい。
アー君

アー君の感想・評価

3.1
RCサクセションは世代的にはもう少し上なんだけど、BUCK-TICKの今井寿氏がユウウツな時に聴くアルバムで「BLUE」を挙げていて、その時に買った事があり「多摩蘭坂」という曲が心に残っていた。

黒井千次の小説は昔何かを読んだような気がするぐらい。このモティーフになった作品は未読である。小説の映像化にはかなり神経を使うとは思う。黒井自身もこの映画に出演をしているが、チャーリー・カウフマンの「アダプテーション」のような可笑しさはみられず、生真面目に物語を描いている印象である。

モノクロームで落ち着いた感じで良かったが、デジタル加工処理なのが少し気にはなった。多摩蘭坂を軸とした物語なのだが、小説と音楽、映画に対しての関係や亡母に対する心象風景が若干ぼやけて見えにくかった。
「ドライブ・マイ・カー」と引き合いにするのはお門違いかもしれないが、あの映画は多言語を取り入れたが、この作品は漢字や平仮名で視覚的には差異がありながらも、同音同義語と異義語もあるが母国語のみの一義である。そのため全体的に奥行きがなかったのは惜しかった。これが戦後の内省的な黒井文学の映像化を意図しているのであれば理解はできる。

最近は洋画だけでなく邦画(アジア系も)にも可能な限り観るようにしている。制作期間の長さにはコロナ禍の影響もあるだろうが、クラウドファンディングを使ったとしても日本映画における厳しさは目に見えてわかる。観てレビューすれば良いというだけでは無責任である事は私自身痛感している。

【↓以下はネタバレ↓】










鑑賞後に従業員ではない方からドアの前で丁寧に挨拶をされましたが、マスクをしていたので分からなくて誰かな? と思いながら映画館を出たが、家路に着いた後に映画館に確認をしたら主演の渡辺雛子さんだった。それがエンドロール後の衝撃的なポストクレジットだった。

[K's cinema 17:10〜]
小谷忠典監督が、武蔵野大学・武蔵野文学館協力のもと、作家・黒井千次さんの短編集を元にモノクロ映像で撮りあげた長編劇映画は、恰も登場人物たちと共に文学の世界を“読書体験”したかのようで、改めて「たまらん坂」を含め、緑豊かな学園都市の国立市の魅力に浸れます。
毎年、母の命日には父と墓参りに来ていた女子大生ひな子だったが、今年は小雨の降る中、一人きりで母の墓前に立つ。
彼女は墓に既にコスモスの花が供えられていることに気付くが、母が亡くなってから17年、祖父母も以前に他界しており、他に墓参に来る人もいない筈なのにと不審に思う。
国立市は私の自宅から30分以内に行ける所で、今の季節だと、国立駅から南武線の谷保駅まで真直ぐ「大学通り」と呼ばれる大通りが通っていて、そこには桜並木が立ち並び、多くの市民が訪れて賑わっている。
ここから、ひな子の母を巡る記憶と、彼女の「たまらん坂」の由緒を探る心の旅が幕を開ける。
全編にわたるモノクローム映像は静謐でエモ―ショナル、そして随所に挿入される同様にモノクロームのアニメーションが温かな印象を与える。
更に、RCサクセションの名曲「ロックン・ロール・ショー」「多摩蘭坂」も劇中に登場し、モノクロームの作品の世界観に彩りを与えています。
心の旅の果てに、ひな子は母をはじめとする家族について、そして「たまらん坂」について何を見出すのか?

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