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恋のエチュード 完全版ののんchanのレビュー・感想・評価

恋のエチュード 完全版(1971年製作の映画)
4.2
『突然炎のごとく』から10年、原作はトリュフォーが敬愛していたアン=ピエール・ロシェ。ロシェが生涯2冊しか書かなかった小説を2冊とも映画化している。

『突然炎のごとく』は2人の男を同時に愛する女を描いた物語だったが、本作は10年以上も同じ男を愛するイギリス人姉妹の物語。
これはロシェのほぼ自伝。

ロシェを演じたのがジャン=ピエール・レオ(当時27歳)ドワネルものを演じたトリュフォーの分身が、ドワネル以外の役を演じた初のトリュフォー作品。

3人の日記を編んで作る小説スタイルにトリュフォーは夢中になったらしい。
3人は離れていても手紙を出し合い自分の感情や愛情を剥き出しにする。この3人の心の中の激しい気持ちの揺らぎで恋の病に落ちてしまう。

この作品は苦悩の映画。
トリュフォー曰く「肉体的な恋を描くのでなく、恋を肉体的に描きたかった」と、当時39歳で脂の乗った時期だったが、興行的に失敗してトリュフォーは打ちのめされたらしい。
時代は5月革命後のフランス。性の自由を賛美した頃で、時代と逆行するような今世紀初頭の恋だったのが古臭く感じたのかも?
上映中に20分短縮して公開したが意味をなさず、1984年亡くなる直前にマルチーヌ・バラケと共に再編集したのがこの完全版で、このDVDヴァージョンがオリジナルとなっているそう。

とても貴重な作品を観れて感動しました🥺
好きな作家への忠誠心で制作した作品、トリュフォーが愛した作品、私もとても好みでした💗
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