ちこちゃん

すずめの戸締まりのちこちゃんのレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
4.2
死とと生は隣り合わせであることを、改めて我々に提示する作品です。

ロードムービーの体をなしながら、すずめが人と接し、自らの源流である地震により故郷での母との別れを追体験するとともに、人を好きになることで、いつ死んでも構わず死を恐れなかった自分から、生きたいと思う自分に変わって行くストーリーである。

人との突然の別れをもたらす災害である地震を取り上げている。
個人的な経験ですが、癌で余命を悟った友人に癌の唯一のいいところは、準備ができることだと言われたことがあります。それは、本人にとってではなく、周りの大事な人が死を受け入れる準備できるということ。災害は、「いってらっしゃい」が言えるのに「おかえり」が言えないこと。災害による突然の別れの残酷さをこの映画は描いています。

誰でも昨日があることは100%確実ですが、明日があるかは誰にとっても不確実なものです。でも、誰も明日が来ることを疑わないものです。
この映画が提示するように生と死が扉一枚でしか隔てられていないことは、生の不確実性を示すとともに、今を生きることの重要性、そして、誰かを愛することの重要性を再認識させるものです。

題材ゆえに重い話でありますし、受け取り方は、その人の生と死の認識に依存するように思います。従って評価も分かれるものであるのでしょう。
話の重さが、きれいなアニメーションの映画であることで、受け取りやすくなっている気がします

出会えて良かった映画でした
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