藻尾井逞育

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスの藻尾井逞育のレビュー・感想・評価

4.5
「ほんの小さな決断で生涯が大きく変わる。宇宙は新たな岐へと分岐する」
「分からないか?君の失敗が別のエブリンの成功に枝分かれする。普通な似通った人生の道をいくつか持つだけ。でもこの世界の君は、何でもできる。何もかもひどすぎるから」

エヴリンは、トラブルだらけの家族と破産寸前のコインランドリーを抱え、困窮していた。ある日、彼女の前に“別の宇宙から来た”という夫のウェイモンドが現れる。唐突に世界の命運を託されたエヴリンは、夫に導かれ想像もできない壮大な闘いに身を投じる。

なんかワケわかんないけど面白い⁈
一本の映画にSFとカンフーアクション、さらにはラブロマンス、LGBTQ、コメディ、ホームドラマ、はては哲学的問題から移民問題、介護問題、下ネタまでいっぺんに詰め込んだ、まさに映画の満漢全席といった感じで、見終わった後、映画3本くらい一気見したかのような体力消耗でした⁈最初、「マルチバースっ?あぁ、それならMCUやスパイダーバースで知ってる!」って完全に舐めていました。人生における選択ごとに新しいバースが誕生し、無数のマルチバースが存在していきます。自分の世界ではありえない奇妙な行動をとることで、自分の世界から弾き出される形で別のバースへジャンプし、そのバースでの記憶、スキルを修得できるバース・ジャンプ。自分のことを理解してもらえないジョイの悲しみ、虚無感が具現化した最強のヴィラン、ジョブ・トゥパキ。すべてのバースを飲み込む、虚無、ゼロの象徴であるベーグル。自分でも書いててわかったような、わからないような⁈
人は生活していく上で、無数の決断をしていきます。でも時には、「あの時ああしていれば」と別の決断をしていた世界に思いをはせたりしてしまうこともあります。でも今よりももっと良い世界も、そうでない酷い世界も、無数の全ての世界が自分が今いる世界を応援してくれていると考えると、また頑張っていこうという気になれます。