月うさぎ

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスの月うさぎのレビュー・感想・評価

3.5
映画の熱量における比較
RRR>バビロン>エブエブ
役者さんの名演
みな素晴らしいです
これはあくまでも個人的評価です。悪しからず

あまりにとっ散らかった印象で、これを「感性としてわかる」と言ってしまうのはどこか嘘な気がして。

狙いすぎなの?あまりにあざといのでは?
マトリックスへのオマージュとも感じなかったですし
観終わってなんとなーく複雑な気持ち

ディテールは面白かったですよ
万華鏡を観ているような楽しさもあります
映像編集の手間とか考えたらすごいんじゃない?
ミシェル・ヨーにどれだけのメイクや衣装を施したんだろうとか。
でもソーセージの指とかベーグルとか「本当に」面白いですか?ネタとしてはちょっとしつこいと思いました。
コスプレすごいね、な話なら後楽園で素人さんですごい人見かけますし。

しかし一番文句を言いたいのはマルチバースを矮小化している所です
SFオタとしては、SFの存在意義は人間の小ささを人間に知らしめるところにあると考えているので
マルチバースなら地球や銀河系とも異なる決して知り得ない別宇宙が無数に存在する。という理論なはず
本作のそれはエブリンを中心とした並行世界であって、人生の分岐点や自己否定された時に、あり得た可能性の人生が生まれるという設定です。あの時選ばなかったいくつもの人生を垣間見れたら、という願いは誰もが思い描いたことがあるはず。つまりとてもイージーで分かりやすい。
それぞれの人生を行き来し、都合のいいところ取りをして戻ってくる。
この時の「宇宙」とはエブリンが主役な世界
妻と夫、母と娘、父と娘
それぞれの関係に問題があり、それに向き合い解決しないと、あなたの世界は崩壊するよ。
あくまでもパーソナルなテーマが大仰な仕掛けで展開する。
ある意味それだけの話。
エブリンが「この世で一番色々諦めた女」だった設定?
いや、普通の人でしょう…

存在の意義とは?
という問いも、あくまでも「私の価値はあるのか」という段階で終わっている。
みんなが褒めている石の世界も、それほど刺さらなかった。

しかし映画の価値はストーリーや語っているテーマだけではない。


ミシェル・ヨー、キー・ホイ・クァンの受賞は価値あるものです。潮目が変わった。とミシェルが語るように、時代がアジア系に追い風になっていると感じます。多くの女優が年齢で役をもらえない。演じたくても演じさせてもらえない。なんと彼女は引退すれば?とさえ言われたそうだ。その負のエネルギーがバネになってこの度の熱演でしょう。
仮にアカデミーが、前回は黒人と障害者にあげたから今回はアジア人とLGBTQだな、というフィルターの元、選考されたとしても。

二人の演技がまた観られるようになる。
何よりもそれを祝しましょう。

All At Onceには変わらなくても
多様性の時代が実現しますように✨
月うさぎ

月うさぎ