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運命の12人のTottoのレビュー・感想・評価

運命の12人(2020年製作のドラマ)
4.5
 題名とあらすじを見てすぐにあの「十二人の怒れる男」(若い方はご存じないかもですが、アメリカ映画の名作なので一度ご覧になるとよいかと)を連想しました。「十二人の・・・」があまりにも完成度の高い作品なので、それにぶつけてきたとしたら相当の独自の工夫がされているのか、はたまた足元にも及ばない駄作かと、半信半疑で観始めましたが見終えて振り返るとなかなか良い作品ですね。

 観ているうちに、ついつい推理ものを観るように、犯人捜しの思考になってしまいますが、名探偵は出てこないですし、陪審員たちが主役である以上、最後は彼らがどう判断するかがクライマックスとなるはずだからと思い直すものの、やっぱり真犯人は誰なんだと思いながら観てしまいます。このあたりはとても巧妙な脚本です。

 また、陪審員たちが個々にかかえる問題をところどころでクローズアップするのは海外ドラマにありがちな手法ではあるものの、ドラマ全体の雰囲気を上手につくりあげ、被告人や被害者たちの境遇とダブらせた思考をオーディエンスそれぞれに自由にさせるあたりがとても上手な演出だと思います。

そしてエンディングでは、オーディエンスには事件の真相も伝えてくれます。映画作品の「十二人の・・・」とは一味違った、ミニシリーズのドラマとして十分に堪能できる作品に仕上がっていると思います。
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