空

夫婦の世界の空のレビュー・感想・評価

夫婦の世界(2020年製作のドラマ)
3.9
男と女の本質を上手く捉えたドラマだと思う。

不倫をテーマに男と女の負の側面に焦点を当てているので、誰かに感情移入しながら鑑賞するタイプの視聴者は疲れるんだろうけど、
客観的に見たらそれぞれのキャラクターの行動にリアリティがあって面白かった。
一見矛盾する愛と憎しみの共存って人間らしい。
冷静な周りは何やってんの⁉︎って思うようなことでも、当事者はいたって真剣ってこと現実でもよくある(笑)

浮気が発覚して即離婚を決意するイェリム、やっとのことで調停離婚したものの執着が断ちきれない主人公、ブランドバッグを買わせてあっさり許すチェ会長夫人。
サレ妻のその後の行動も皆違っててリアル。

そして何より映像の美しさ。
不倫と復讐という内容は低俗なのにもかかわらず見続けられたのは映像演出が素晴らしかったから。こんなに美しく品のある不倫ドラマ初めて見た。
イタリア映画のようなセットや小道具、照明、キャラクターの心情を露骨に表現した衣装など、至る所にこだわりが。
どこまで原作に忠実なのかイギリスの原作『女医フォスター』も見てみたけど、韓国版のほうが主人公を取り巻く人間関係や、映像のこだわりなど、より丁寧に作られている感じ。

ただし23話あたりから映像も演出も雑になった。
カメラアングル、構図、色彩、カット割、スローモーションやクロスカッティング等、緊張感や臨場感を際立たせる演出、印象的なシーンが激減した。カット数も明らかに減った。
時間と予算の関係だと思うけど…ほんと残念。前半のクオリティのまま最終話まで観たかった。最終話まであのクオリティだったら4.0超えだった。


内容面で最も物足りなかったのがテオのキャラクター背景の掘り下げの浅さ。
ソヌとダギョン、あの美しく聡明な2人があそこまでハマるには説得力が足りない。
テオの男としての魅力が描かれたのは恐らくこの3つのみ。

“世話好きな女を好みながら縛られていると感じると逃げ出したくなる” “自由人”
結局は映画監督としても成功しているのでセンスも才能もある

これだけでも魅力的な人物だというのはわからないでもないけど、さすがにこれだけなのは少なすぎる。
後半2人の不毛なやりとりを何度も繰り返すくらいなら、テオのキャラクターを掘り下げることで作品により深みが出たと思う。
善人から悪役まで幅広くこなすパク・ヘジュンさんなら絶対に演じられたと思うし。


AmazonプライムではNetflixにはない33話と34話があるのでお勧め。
自分が演じたキャラクターについて俳優さんたちの思いや分析が興味深くて面白かった。ドラマのなかのキャラクターは泣いたり叫んだり罵り合ったり、皆キツかったけど、インタビューではずっとニコニコしててキュートで、それだけでほっこりする(╹◡╹)
空