サカイピロシネツキ

岸辺のアルバムのサカイピロシネツキのレビュー・感想・評価

岸辺のアルバム(1977年製作のドラマ)
4.5
山田太一原作・脚本の“テレビドラマ史に残る名作”

ゴリゴリに強調された家父長制家族、稼ぐ夫/父の横暴ぶりと仕事人間としての葛藤や辛苦、鳥かごの中の妻/母、娘、息子たち…家族全員が被害者でもあり秘密を抱えた罪人でもあり、決壊して氾濫することが予め示唆された危険水域の日常が描かれる。


善意や個人の尊厳・自由よりも、社会の建前や押し付けられた常識を疑わずに生きることが優先されがちだった時代を喝破し、ひとつの家族と家を文字通りに崩壊させる
ことで、家族というものの意味を問い直す、異端のホームドラマ。