きまぐれ熊

ホークアイのきまぐれ熊のレビュー・感想・評価

ホークアイ(2021年製作のドラマ)
3.8
ダイハードとかホームアローンとかクリスマスの風物詩的映画を下敷きにしたホークアイの世代交代劇

ではあるけど、別にホークアイのバックストーリーを知らなくてもしっかり楽しめるところは他のMCUドラマシリーズにはない強み

なんかすげぇ強い傭兵なんだなぁー、くらいの前提知識があれば観れる



とか書いたものの、このドラマ飲み込むのすごく難しくないか?

ワンダビジョンとかファルコン&ウィンターソルジャーは前提知識が必要となるし、ドラマだけでは歴史やテロリズムに関して描写不足だったりするものの、積極的に読み解こうとした場合、ネットには丁寧な解説がいっぱいあるので、訴えているメッセージ性自体は非常に明快な事もあって受け入れやすい。感動のポイントもはっきりしてる

でもこのホークアイは全然違う
最終話のケイトの選択もそうだし、エコーの主人公マヤの行動もそう。エレーナは感情を口に出して表現するのでまだわかりやすい方。
ホークアイは今回、あくまで過去の落とし前や大切なものを守るための防衛戦と言った印象が強かったけど、
彼が善かというと、もはやそういう事を議論するのがバカバカしいくらいイデオロギーが入り組んだ場所に立っている

ホークアイを観てより強く思ったのは、MCUは「媒体が実写で実現されるだけのコミック」をやりたいんだなってのがあって、そこには明確な善悪が存在しない。
全てをグレーにしたいってのがフェーズ4に入ってからより強くなってきている。
ファルコン&ウィンターソルジャーは全てはグレーな中でも、なお輝く次世代キャプテンというわかりやすい構図だったけど、ホークアイに関しては明確なヒーローってどこにも存在してないんだよね。
形式上の大ボスは存在したけど映像上のケレン味として倒したという側面が強く、ケイトのヒーロー性はそことは違う部分での最後の決断にあるし。
かと言ってホークアイは今回ケイトを育てただけでヒーローとして正しいことは一切やってない。身近な人にかかった火の粉を振り払っただけだし。ずっと自分のために戦ってる。

というわけでかなり感想が難しい作品でした
ケイトは可愛いし、クリントはパパとしての安心感があったけど、あまりにもリアルすぎてエンタメになってないんじゃないかってあたりが正直な感想かな〜

あとはスーパーパワーが存在しない分、人間の才能で全ての選択肢が決まるんだな〜ってう残酷さが如実になってしまっているのも気になってる。それは相手がマフィアのボスであることからも明らかで、下手なヒーローものよりも才能合戦をやってるんだよね。
このドラマに感情移入できる人ってかなり限られるんじゃないかな。そこそこ人生順風満帆な人じゃないと純粋に楽しめなくない?それがエンタメ作品として評価が難しいなって感じるポイント
ワンダヴィジョンもファルコン&ウィンターソルジャーも奪われたものの視点に立って進むんだけど、ホークアイは奪われないための戦いだからね。今の時代、何も奪われてない人って...そんなのそうそういるか...?っていうところが人を選んでるって感じる理由かな。
エンタメ部分としては、クリントの難聴とエコーの対比が上手くハマっていたなってとこ。そこだけかな、純粋に良かったのは。
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