mimitakoyaki

私の名前はキムサムスンのmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

私の名前はキムサムスン(2005年製作のドラマ)
4.0
今ではすっかり落ち着いたイケ過ぎてる大人の中の大人であるヒョンビンが若い頃に大ヒットした2005年の作品です。

この作品でのヒョンビンはまだ初々しい感じがあり、若さ弾けてますが、今回の役柄のせいもあるのか、今の方が断然良いとわたし的には思ったわけです。

まあ15年以上前の作品なので、性格の悪い御曹司という役柄ではあるにせよ、当時は「そんなもんか…」で済まされてたような言動も、今見ると最低なモラハラ野郎やん!って思ってしまって、いくらヒョンビンでもそれはアカンやろ…と萎えるような場面も多数ありました。

例えば、すぐに激昂して人を引っ叩いたり殴ったりするし、ポッチャリな主人公サムスンへの体型いじりとか、30歳だということで年齢いじりとかするんですよ。
相手を傷つける暴言を吐くし、アレしろ、コレするなと自分に従わせようとするとか、イケメンや思うて許されると思うなよ!ってイラっとくる狼藉の数々に時代を感じさせます(カラオケは最高だったけど!)
今ならこんな言動を主人公にさせないでしょうね。


そんなこんなでヒョンビンはアレですが、女性の主人公のサムスンがわたしはとても魅力的で好きでした。

名前を言うとみんなから笑われるようなダサい名前で、日本的に例えると、3人立て続けに女の子産まれて三女でもうおしまい!的なトメ子とか未子くらいのニュアンスなんでしょう。(ちなみにジノンがサンシクって呼ばれてたのも、日本的には三郎、留吉みたいな感じなんだと思います)
そんなダサい名前を改名したいし、クリスマスに彼氏に浮気された上にクビにもなってボロボロだし、周りから年増のデブ呼ばわりされたりして、コンプレックスに思ってるんですけど、彼女はとにかく裏表なく明け透けで、思ってることはハッキリ言うし、何より御曹司と恋人になっても玉の輿にのろうなんて気はさらさらなく、自分の生き方を自分で決め、彼の経済力に頼ることなく自分でやり遂げるところや、自分を安売りしないところが、ほんとにカッコ良いし、自立した素敵な女性だと思いました。

最終的に、自分の年齢も体型も名前も、コンプレックスだったものも含めて自分を認め、ありのままの自分で良いんだってところが、このドラマの最大のテーマであり見どころで、「女性は若くて細くて美人でこそ」という価値観に対抗してみせたところがとても良かったです。

あと、どんなに愛する恋人とでも、避妊を要求しセックスしたくない時はイヤを言うのは女性の権力である「性の自己決定」をちゃんと描いてるところも良い!
今でこそ「セクシャルandリプロダクティブヘルス ライツ」という言葉も聞くようになってきましたが、05年でこれを描いてるのはすごく先進的なんじゃないでしょうか。

そして、サムスンの姉もなかなかに変わった人ですが、出会って飲みに行った相手とすぐホテルに行ったりするけど、相手に付き合おうと言われても、それとコレとは別ときっぱりしてるところや、同棲をしようと言われると、法的な関係でもないのに家事やらされるやん、ムリ!って言うところとか最高かよ!って思いました笑

15年以上も前にこんなセリフを書いてたなんてスゴイし、結婚願望のあるサムスンを描く一方で、こうした結婚しない自由な生き方を選ぶ人物の存在があるも良かったです。
そして、過度に女性を外見で評価する風潮(特に韓国は美容整形大国でもあります)に対するカウンターや今で言うところのジェンダー視点が、今見てもとても共感できました。

とにかくサムスンの飾らない人柄が素敵で、歩き方も喋り方もめちゃくちゃオバチャン風だし、暴飲暴食するし、行儀だって良くないし、家では短パンとツッカケってのもめちゃくちゃ親近感あるし笑。
でも情があって正義感もあって、自分の芯がちゃんとあるところ、人を信じようとする強さとか、人としての魅力があり、演じてるキムソナがもうなりきっててすごいです。
あの状況で花札やるシーンとか最高!

偽装恋愛、財閥の御曹司と非モテ女の恋愛、親の猛反対、初恋の相手との再会とか、またコレかよって言う程のめちゃくちゃよくある話ではあるのに、サムスンの魅力的なキャラや、新しいジェンダー視点による価値観が盛り込まれた楽しいラブコメでした。

※わたしはヒョンビンのジノンよりもヘンリーが好きです。
あと、前髪のせいかサムスンが丸山桂里奈に見えたり、あと南海のシズちゃんにも見えて、それが気になったなあ。

7
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