む

レモニー・スニケットの世にも不幸なできごと シーズン3のむのレビュー・感想・評価

4.9
まず原作が児童文学ながら、不幸せ(不運)な物語だったり、時おり正義とは?高潔な人とは?といった事に言及している(疑問を呈する)点がスゴい。ホテルでは、オラフ伯爵が誰よりもまともに見える瞬間があった。

そういうのが説教臭かったり、押し付けがましいわけではなくって、端々にイケてるジョークや、言葉遊びなんかが織り交ぜられていてスンナリしてる。観ていて暑苦しくならなかった。
子供だけでなく、大人が観ても面白いし、社会を俯瞰するキッカケになった。


ストーリーは個人的に最高。
後見人の元をたらい回しに遭い、その先々で変装したオラフ伯爵がアノ手コノ手で、ボードレール姉弟妹(の財産)を手中に収めようとするパターンが中盤まである。
パターンから物語が作られると、パターン化による笑いや、パターンを外れた新たな展開によるワクワクを誘われ、作品へ自分だけの愛が籠る気がしてる。

特に好きだった舞台は『season2/まやかしエレベーター』
まずINとOUTの2択で世界を見ることがワケワカランくて面白いし、INオークションでV.F.Dと書かれた段ボールを落札しようと、ひっちゃかめっちゃかになるシーンは笑った。


シリーズを通して大きな謎だった、V.F.Dや砂糖壺、ベアトリス、そして登場人物全員を渦巻く煙のようで掴みどころのない謎、それらがシリーズ後半で明かされていくのが爽快でドキドキだった。
それからさらに、全てをわかった後で1話から見返すと、細かな所で伏線や解答が用意されてた事に気づく。それがまた良かったなぁと。


ドラマを評価しているのか、物語(原作)を評価しているのかわからなくなってきたけど、
何度観返しても楽しめる作品だと思う。
む