つめけん

仮面ライダー龍騎のつめけんのレビュー・感想・評価

仮面ライダー龍騎(2002年製作のドラマ)
3.8
「戦わなければ生き残れない!」

戦っても生き残れなかった!

平成ライダー3作目にして、最大の挑戦作。
道を作ったクウガ、道を整えたアギト、横道を作る龍騎。この作品以降、凸凹な平成ライダーシリーズは真に始まる。

平成ライダーで初めて「仮面ライダー」という単語が劇中で使われた。
前作アギトで初めて導入された複数ライダー制を突き詰めて13人のライダーを登場させ、互いに殺し合わせるという異様な展開を見せた。
とは言え、レギュラーは龍騎、ナイト、ゾルダ、王蛇の4人で残りはいたりいなかったりなので、そこまでゴチャついた印象はない。

ライダーバトルなんていう胡散臭いものにしか縋れない訳アリな登場人物たちが互いの願いをかけて戦うとあって、出てくるライダーがみんなぶっ飛んでる。まともな奴がほぼいない。故に面白いんだけど、故に比較的マトモで愚かなほどに良い奴な主人公が最後までずっと悩み続けてて気の毒。最後もアレだし。

中盤以降はライダーバトルの根幹、動機や謎に迫る縦軸が追加される。これが本当に個人的なもので、劇中浅倉が放った「くだらない」の一言で完全に片付けてしまえる。傍迷惑。神崎兄妹は可哀想だけどクソだと思います。

長いライダーの歴史でも、ここまで何もかも絶望的な作品は結構レア。「自分の願いのために他人を殺す」なんていう前提の時点でもう悲惨なんだけど、それに加えて大方の登場人物は壮絶な退場をしていくし、最終みんな死ぬ。さらに、生き残ったとて願いは叶わないと思われるので救いがない。

「仮面ライダー龍騎」の名を冠する作品はテレビもスペシャルも映画も小説も漫画も全部ハッピーエンドではないという徹底ぶり。マルチバッドエンディング。どうあがいても、絶望。

この強烈な作品が日曜の朝に毎週放送されていたせいで(おかげで)、後年のいろんな作品に影響を与えた。僕の好きな「まどマギ」も龍騎のフォロワー。そういう意味でも意義深い作品。

浅倉と東條、物語の推進剤となる所謂「荒らしキャラ」。作中で戦いによって死んでいくライダーは殆ど彼らよって倒されているという徹底した荒らしぶりは良かったものの、若干持て余してた感があった。浅倉の退場はアレでいいのか…?

キャストの棒読み率がやたら高いのと、女性陣が1人として可愛くないのがマイナスポイント。蓮の彼女が1番酷い。蓮が命かけてまで救う価値を、僕は見出せない。
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