Qちゃん

ドライブ in ウクライナ 彼女は「告白」を乗せて走るのQちゃんのレビュー・感想・評価

3.8
ロシアのウクライナ侵攻を背景に、少しでも多くの人を救おうと、あくまでも本人的には合法な範囲で、車移動で人々の手助けをする訳アリの女性ドライバーの物語。

乗せた人々にまつわる各エピソードと共に、カウンセラーである本人にも割り切れない戦時下での悲劇、そして残された疑惑を解き明かしていく大きなストーリーも。

現在進行形でまさに戦争只中であるウクライナで撮られた衝撃の本作。普通に暮らしていた人々の身に突然降ってきた厄災の大きさと恐ろしさが生々しく、震える。

平穏な街、住み慣れた我が家が、突如爆撃で瓦礫と灰に化す。
生まれた時から住んでいた土地から逃げないと、侵略者に何されるか分からない。
愛する夫が、妹が、友達が、前触れもなく傷つけられ、死ぬ。
誰も傷つけたくないのに、殺せと引っ張り出される。国には負けて欲しくないが、死にたくないし、人を殺したくもない。
なんでうちの子が、なんで孫が、なんで私が。
奴らは十分な領土を持っているのに。

戦争のもたらす恐怖と絶望と悲しみと涙と死と怒りに、ただただ黙する。

日本人には馴染みが薄いウクライナ特有の現地事情や、戦時下の現地の日常生活の様子も見えてくる。

旧ソ連体制下だったウクライナの人々には、ロシアに親戚がいるのは良くあること。
エリアによっては大きい親ロシア派とその他住民の確執。
戦時下で酒類販売禁止、ガソリンも軍が優先。
裁判所が閉まってるから、離婚できないし、訴えることもできない。
戒厳令下で男は国外に出ることは禁止され、いつ徴兵されるとも知れない。
ロシア軍の恐怖だけでなく、自国軍にもスパイ容疑などで逮捕・連行される恐怖。

そんな状況下で生まれてくる、人間の生き方と在り方への問い。特に家族の絆は多く取り上げられている。重々しいトーンだが、各話希望の光が見えるエピソードなのが救い。

1話目、姉妹の絆。お婿さんどうかと思うわほんと。

2話目、ここに限らず、こんな世の中では、可愛い女の子は搾取されない賢さと強さを身につけないといけない、ほんと。ドライバーの旦那クソ野郎すぎてもはや怖い。ロシアの秘密工作が見え隠れしだす。こわ。。

3話目、これ一番共感したかも。はたから見たら差別主義だとか言われる態度だが、お母さんの気持ちも分かりすぎて辛い。。実際自分の息子にこのシチュエーションが降ってきたらそりゃそう思うわ。
基本ヨーロッパの方って教養がある人は、自国語の他に英語できるの当たり前で、多少他の言語もできて、頭下がる。。

4話、辛い。。辛すぎる。。😢元々暴力的なこと嫌な子だもん。愛する人にああ言われてて。待望の子供も生まれるのに。男らしさを説いて体現してきた人だって戦争を経て人が変わる。夜の様子、あんなんもはや地獄絵図。この放送の直後にNHKの番宣「国際報道:徴兵拒否に揺れるウクライナ」って。。😓分かるけど。。うう。。

5話、旧ソ連時代から東欧的な生き方をしてきた世代といまの社会人世代の考え方の違い。不器用だけど優しいばあちゃんにマジで泣く。。てか「ばあちゃん」ってウクライナ語でも「バア」なんだ😅

5話ラストのテロップ、「第6話以降は現在ウクライナで製作中です」って、ただの事実なんだけど、中々のパワーワードだな。。ウクライナ情勢を意識し続けながら、楽しみにお待ちしております。。😢🙏
Qちゃん

Qちゃん