なお

リコリス・リコイルのなおのレビュー・感想・評価

リコリス・リコイル(2022年製作のアニメ)
3.5
"銃と美少女と"

SNS上(主にTwitter)での評判を聞きつけ視聴開始。
数々の名作アニメを世に送り出してきたA-1 Pictures制作のオリジナル作品。
自分にとっては『THE IDOLM@STER』シリーズのアニメを手がけた会社、というイメージもあってなじみ深い。

オリジナル作品ではあるがその人気は本編放送終了後の今も高く、各種媒体にてコミカライズやノベライズ、また主役二人の声を務めた声優によるラジオ番組が放送中であるほか、SNS上では有志によるファンアートの類も公開されている。

✏️光る構成力
実に様々な顔というか、色を持ったアニメ作品。

日本の治安を維持するため人知れず暗躍する秘密組織<DA>によって、戦闘能力を極限まで高められた少女たちによる暗殺集団<リコリス>と、己の目的達成のためなら破壊と殺戮をもいとわないサイコパス犯罪者・真島の戦いを追ったアクション作品として楽しむもよし。

真面目で冷静実直・井ノ上たきなと、元気溌剌で天真爛漫・錦木千束の凸凹コンビがお送りする日常を描く美少女アニメ作品として楽しむのも当然いい。

前述の通りA-1 Pictures制作のアニメということで、たきなと千束のキャラデザインはいい意味で既視感があり、絵柄を抵抗なく受け入れることができたのは大きい。

また昨今日本発の映像作品でもたびたびテーマとして取り上げられるようになった性的マイノリティ---本作では主に登場人物同士による同性愛を描いた社会派的作品としての一面ものぞかせる。

物語は1クール分、つまり全13話構成だが、ともすれば「詰め込みすぎ」ともなりそうなテーマをきっちりまとめ上げ、1つの物語として成立させる構成力はさすがA-1 Pictures。

✏️いのちだいじに
自分はどちらかというと「アクション作品」として楽しませてもらった。
いやはや最近のアニメは3DCGを使わずとも迫力満載の銃撃戦や肉弾戦を描くことが可能で、思わず舌を巻いてしまう。

特にリコリスの中でももはや伝説級の戦闘能力で、なんと拳銃の銃弾を目視で難なくかわすことのできる千束の戦いっぷりは圧巻。
ガンアクションを題材とした作品でこの能力はチートすぎる。

これだけだとアクション作品としての緊張感がなくなりそうだが、千束は過去のある事件をきっかけに、まるで「るろうに剣心」の主人公・緋村剣心の如く「不殺(ころさず)」を信条としている。
その信条は時に窮地を救うこともあるし、逆に千束たちをピンチに追いやることも。

また普段は冷静沈着で高い射撃能力と洞察力を持つたきなだが、何かをきっかけにタガが外れると暴走気味に。
そんなたきなのサポートに回る場面もしばしば存在する。

また物語終盤にて明らかになる、千束が抱えるある「秘密」の存在。

このバランスの良さが単なる「チート級の主人公が無双する」系の作品とならず、ティーンを始めとするSNS世代を中心に高い人気を博すことになった1つの要因かもしれない。

☑️まとめ
とはいえ、先に書いたそれ以外の要素はあまり自分にはハマらず、総合的な評価は「可もなく不可もなく」といったところ。
1話1話の間隔が空いてしまったのも良くなかったかな。

自分が美少女アニメにドはまりしていた10年くらい前に本作を見ていたら、恐らく円盤も買ってラジオも視聴して漫画も買って…と、オールタイムベスト級の作品になっていたに違いない。
なお

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