アー君

ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャンのアー君のレビュー・感想・評価

3.5
このシリーズはジョジョの「女囚さそり」版という雰囲気で連載当時は結構楽しめていた作品であった。(荒木は微塵にも思わないだろうけど。)

女性が主人公という点や、無敵に近かった承太郎も年齢によるものなのか、判断力が弱くなったなという描き方も好感を持ったのが理由である。

神父とDIOとの出会いになるが、無理もあるようではあるが、それは「警視庁草紙」における子供時代の漱石と一葉のようでもあり、巧みな構成は健在であった。

敵であったフー・ファイターズを味方にする辺りに計算高さはなく、荒木の性善説や性悪説を超えた哲学的な意味も込められている。(それはジョセフ編の最後に卑劣な行為に対してのエシディシにも敬意を払う扱いにも近かった。)

マックイーン編の窓からの偶然による誤射の話やサヴェジ・ガーデン編でウェザー・リポートがカエルを落下させるエピソードは、P・T・アンダーソン「マグノリア」の剽窃とまでは指摘し難いが影響は否めないだろう。カエルは神のみに使えるものとしては不吉の象徴でもあるが、神父の将来を示唆する意味としては解せる話ではあった。

[2024年4月15日〜21日:MXテレビ(録画)]
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