大島育宙さんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

大島育宙

大島育宙

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シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

3.0

予備知識が少なかったせいか、肝となるシーンがわからぬままスッと終わってしまった。子供の時はずっと(ティガ〜コスモスくらい)観てたはずなんだけど…そういう知識は役に立たなかったみたい。メフィラス星人が主>>続きを読む

生きててよかった(2022年製作の映画)

4.0

格闘シーンの生々しさが全てを下支えしている。
主演の木幡竜さんがプロボクサー、
日本を代表するアクション監督の園村健介氏とは言え、地下格闘技のステゴロシーンはどう撮ったの?と不安になるようなリアルさ。
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パリ13区(2021年製作の映画)

4.1

凄く良かった。白黒の方が集中力上がる、と久しぶりに思った。70代でこんなにカット割れるのがまず凄い。サントラも現代的。

「セクシャルなシーンがエロくなく美しい」
という評をよく見たが、自分はとてもエ
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神は見返りを求める(2022年製作の映画)

4.5

YouTuberの世界を描いているようで、
承認欲求ポイントレースがルール化した地獄社会全体をリアルに余さず描き込んでいる。凄い。

【スマホのカメラが銃口になった戦争映画】

田母神(ムロツヨシ)は
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流浪の月(2022年製作の映画)

-

※公開後に詳しい感想とスコアつけます。

李相日監督の豪華キャスト映画は「競演」のようでいて実は1人か2人勝ちになってしまう印象がある。『悪人』は満島ひかりと岡田将生がステージを爆上げし、『怒り』は森
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ハッチング―孵化―(2022年製作の映画)

4.1

「歴史に残る傑作」とかではないが、
映画を見始めた頃の根源的な興奮を味わえてかなり良かった。過去のホラー映画群からのインスパイアが大量で、新鮮なソリッドなものを作りたいというより綺麗なノートにコラージ
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TITANE/チタン(2021年製作の映画)

3.8

前半は映画館で久し振りに興奮した。
鳥肌がちゃんと立つ、皮膚感覚/身体感覚にしっかりフォーカスした大喜利の乱れ打ち。
芸人の誰かが言った「口淫は究極の信頼である」という言葉の裏返し。

5分に一度ツッ
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N号棟(2021年製作の映画)

3.5

惜しい…!高級感がちゃんとあって、強い萩原みのりさんが観れる!黒沢清的なと言うべきような「死」についての論考から入るスムーズさは安定感があったが…

萩原みのりファンは絶対観るべき。
放送禁止とかが好
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湯を沸かすほどの熱い愛(2016年製作の映画)

1.4

思い出すだに最低の映画。

役者陣や技術スタッフに罪はないが、
物語の根幹とベースの価値観が有害過ぎる。

鑑賞当時に一言だけ
「親の価値観を力尽くで子供に押し付けないでくれ〜」とだけコメントしてあっ
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ベルファスト(2021年製作の映画)

4.1

子供の頃の感受性がブワッと鳥肌のように蘇り、
子供時代を再体験するVRのようでかなり怖かった。大人の価値観と決定に振り回されていることを薄々理解しつつ、自分のオーセンティックな感受性もコントロールが難
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牛首村(2022年製作の映画)

3.3

村シリーズは回を追うごとにJホラー的湿度が減り、ヨーロッパ的なゴシックホラー/ダークファンタジーに寄っていく。
良し悪しは置いておいて、なぜ?

ミステリ的などんでん返しを中盤に持ってくるのはよいが、
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真・事故物件 本当に怖い住民たち(2021年製作の映画)

4.1

やはり映画はクライマックスと後味だ。

意味不明に長いシーンが多く荒削り
もっと切れるだろ!と素人目にも確信できる
初回のYouTube撮影シーンなど辛いが、
やはりラストのゴア描写畳み掛けに快哉を叫
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最後の決闘裁判(2021年製作の映画)

4.5

近年のリドリー・スコットは益々信用できる。
母を尊敬して生きてきた男監督だから、
というエクスキューズ的な解説抜きにしても
気持ち悪い格差を鋭い刃でこじ開ける。

マット・デイモンとアダム・ドライバー
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DEATH DAYS(2021年製作の映画)

4.7

30代でここまで技巧とテーマが一致して一貫してるのえげつない、長久監督。

YouTube映えもするし、きっとスクリーン映えもするのだろう。

虚無の中の希望を描くスタンスは『金魚』『ゾンビーズ』と変
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死国(1999年製作の映画)

3.5

初見。尺がタイトで観やすかった。

ラスト、栗山千明が現れるまでは不穏さ・ミステリーともに楽しめた。四国を逆にお遍路巡礼するロジックもとても面白い。

ただ、クライマックス以降、登場人物の行動原理がこ
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事故物件 恐い間取り(2020年製作の映画)

3.9

公開当時映画館で2回観て久々にNetflixで再見。

4軒目のトンデモ展開で珍作認定食らってる感が強いけど、そこまでのフリは悪くなかったと思っている。3軒目の亀梨さんのヤバい顔だけでも見る価値アリ。
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そうして私たちはプールに金魚を、(2016年製作の映画)

4.0

凄すぎる。いわゆる広告出身監督の映像の作り方だと思ってみたら度肝を抜かれる。映像技法の手練手管の宝庫。ひとつひとつのカット・アングル・色調の全てに意味があるという点でも、そして広告出身という点でも、次>>続きを読む

第9地区(2009年製作の映画)

5.0

オールタイムベストの1本を数年ぶりに配信で再現したが、やはり全く古びていないし、どう見てもニール監督の断トツの代表作である。14年経っても全く映像が古びない工夫が尽くされている。

初見は新文芸坐で『
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俺俺(2013年製作の映画)

3.3

『大怪獣のあとしまつ』の炎上で久しぶりに思い出してアマプラで鑑賞。当時は映画館で観た。

三木聡作品の中で「俺俺からは失敗作だらけ」と分類する人が多いが、
自分はこれが最後の成功作品とカウントしたい。
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踊る大捜査線 THE MOVIE 湾岸署史上最悪の3日間!(1998年製作の映画)

3.4

突然観たくなって10年以上ぶりに再見。
やっぱり初期は本当に面白い。
キョンキョンの殺人鬼役が怖くて眠れなくなった幼少期の記憶が蘇る。

超重要人物がかなり早いシーンに意味ある形で映り込んでいるとか、
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前科者(2022年製作の映画)

3.1

時折不意に訪れるバイオレンスにギョッとさせられるだけで充分に鑑賞の価値はあるが、岸監督は根本的にヒューマンドラマとの相性が良くないのではないかと思った。過去作『二重生活』『あゝ、荒野』がある種の傑作た>>続きを読む

大怪獣のあとしまつ(2022年製作の映画)

2.0

擁護の余地を探しながら見たけどかなり苦心した。
歴史に残る、愛すべき駄作で決定で良かろう。

俳優陣全員大怪我、
監督はミスマッチ。
深夜枠の30分×5話のドラマなら密かに人気も出たであろう。
詰まる
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パプリカ(2006年製作の映画)

4.9

改装休業前の新文芸坐で初めてスクリーンで体験。

百鬼夜行シーンの中毒性たるや。
早く百鬼夜行シーン来ないかなーと楽しみになってしまう。

後のあらゆる映像作品に否応なく影響を与えていることを再確認。
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たまらん坂(2019年製作の映画)

3.8

黒井千次が読みたくなった。
RCサクセションが聴きたくなった。

人が動いていなくても、映っていなくても、
人がいるような感覚になる撮り方が面白かった。

淡々とし過ぎていて観ている間少しぼーっとして
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千年女優(2001年製作の映画)

5.0

新文芸坐休業前にスクリーンで初めて鑑賞。

「女優」という立場で物語の主人公に没入する女優、彼女の半生を役の人物設定ごと追いかける狂言回しの2人という構成。あらゆる時代・場がシームレスに繋がる/飛躍す
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クライ・マッチョ(2021年製作の映画)

-

「イーストウッドだから見てられる」の極地だと思うし、『グラン・トリノ』『マディソン郡の橋』のセルフリメイク的な部分も大きいけど、その頃の肩肘張った名作量産期よりもずっと軽やかで見やすかった。

少年の
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スティルウォーター(2021年製作の映画)

3.9

もっさりした白人・右派・低所得層のマット・デイモンが似合いすぎていて往時のアクションスターの面影なし!ちゃんと俳優としてのキャリアシフトに成功してるなあ。

現地でパートナーになる演劇俳優の女性役・カ
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ノイズ(2022年製作の映画)

3.5

公開前なのでネタバレなしで。

超豪華キャスト大作邦画サスペンスとしては数年に1本の出来だと思う。

原作未読なので二転三転の展開にストレートに揺さぶられた。横溝正史的な田舎の怖さホラー要素が後半もっ
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ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)

5.0

2021年ベストどころか史上最高のコメディ。

筒井康隆ファンとしては氏の『霊長類南へ』『東海道戦争』『最後の喫煙者』『日本以外全部沈没』といった痛烈風刺ドタバタ小説がハリウッドの超豪華キャストで実写
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真夜中乙女戦争(2021年製作の映画)

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この感覚が理解できる人だけを同世代と呼びたいなと思った。これが92年生まれの私のリアリティ。原作者のF氏は89年生まれ、二宮健監督は91年生まれ。主演の2人も99年と95年生まれ。難解、ということでは>>続きを読む

さがす(2022年製作の映画)

4.2

スリラーミステリーの古典の風格がありながら、
明らかに実在事件(座間)をベースにしており、
SNS描写もリアリティがあって現代的。

片山慎三監督がポン・ジュノの助監督だっただけあって、『母なる証明』
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コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

4.0

これほど「音とコミュニケーション」にフォーカスした映画は珍しい。

下ネタを手話で言い合う家族はむしろ一周回って書き割り的な気もするが、兄弟と友達が恋愛してしまう閉鎖的なコミュニティの感じ、下品な感じ
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声もなく(2020年製作の映画)

4.1

素晴らしい。

韓国の犯罪映画に抱きがちな「生々しい暴力」(たまたまそういうものが先鋭化して日本に入ってきてるだけで、そうでないのも沢山あるが…)というイメージを覆す、静謐な暴力。しかし、ストーリーか
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スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム(2021年製作の映画)

3.0

トム・ホランド版だけ予習してきた子供たちやライト層は中盤からポカーンと置いてきぼりになるけどそれでいいの?エンタメ作品は膨張した後に閾値を超えると収縮(最低限の予習はしてきた新規ファンすら置いてきぼり>>続きを読む

岬の兄妹(2018年製作の映画)

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『さがす』を観る機会に再見。

これでもかと畳みかける苦渋の決断の連打に圧倒される。敢えて不謹慎な言い方をすれば、不幸エンタメ(不幸ポルノ)としてのサービス精神が過多である。

初めてのまとまった稼ぎ
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