大島育宙さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

大島育宙

大島育宙

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北北西に進路を取れ(1959年製作の映画)

4.1

前半はストーリーテリングの引き出しの宝庫!

・地平線が見える荒野のシーン
・オークション会場の発想の転換のシーン

が徹頭徹尾全部超面白かった。
荒野のくだりはアメリカでしかできない!
羨ましい。
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レジェンド&バタフライ(2023年製作の映画)

4.0

試写。大友啓史監督映画で1番好き!
(※公開後加筆予定)

うつけだったギャーギャー喚く信長が、
低い声で喋る鬼になり、
おじさんになり枯れてしまうまでを
シームレスに演じる木村拓哉大天才。

対して
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四畳半タイムマシンブルース(2022年製作の映画)

3.8

配信のシリーズ版との比較まだ。

11年経ってもまだ薔薇色ではないキャンパスライフを繰り広げている彼らを見れるだけで感無量ですね。日常は確かに宇宙と繋がっているという実感と、モラトリアムの永遠っぽさ!
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ザ・メニュー(2022年製作の映画)

3.9

アニャ・テイラー・ジョイに強い女を代表させるのそろそろやめたれ!記号になってるぞ!

と、言いつつラストシーンあんなモノであんなモノを眺めながら口を拭うのは『金閣寺』みたいで流石にカッコよかった。
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マッドゴッド(2021年製作の映画)

4.3

2022年最後に観た映画!最高!

アバターのCGのリアリティよりこっちの方が生き物に見えます。説明がなさすぎて、言葉のわからない地域の地獄の社会科見学をしてるような感じ。

果たして長編映画がベスト
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RRR(2022年製作の映画)

4.9

書き忘れてた!2022ベスト映画!

暴力革命の肯定との批判もあるけど、
・振るわれてる圧倒的な暴力への抵抗であること
・ラストある人物が求めるのは何か?
の2点からなかなか難しい批判かなと。

個人
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打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?(1993年製作の映画)

3.9

モテキで知って観た時に★2.7つけてた。
10年ぶりくらいに観て良さがわかった。

初恋の象徴みたいな奥菜恵。
花火そのもののように捉えどころなく
儚く消えていく夏の思い出。

どう計算しても再現不可
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ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

4.5

三宅唱監督って最強なのかもしれない。

Netflixの呪怨が好きで注目してたけど、
やっぱり映像の手触りと音へのこだわりが異常。
16mmフィルム撮影。

エンドロールの「映画ですよ。ただ観てくれ」
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MEN 同じ顔の男たち(2022年製作の映画)

3.9

ホラーとポルノは隣接ジャンルだとして、襲われる主人公女性が恐怖や攻撃とは関係なく服を脱がされる(=安直にポルノ化する)のが普通のことになってる(むしろ古来から様式化してる)中で、最後まで主人公女性が長>>続きを読む

タクシードライバー(1976年製作の映画)

4.5

安倍晋三を銃撃した彼はSNSで『ジョーカー』に頻繁に言及してたらしいけど、明らかに『タクシードライバー』も観てるしより強く影響受けてると思う。武器の自作から演説を聴く時のポーズまでそっくりすぎる。が、>>続きを読む

恋のいばら(2023年製作の映画)

3.6

試写で鑑賞。

三角関係とかラブコメサスペンスとして売るのは宣伝の正攻法だと思うけど、それ以上に「撮ること/撮られること」という、現代でより切実なテーマがある。大袈裟に言えば『NOPE』、身近な例に照
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別れる決心(2022年製作の映画)

4.4

試写会で鑑賞。

パク・チャヌクがラブロマンスを?と恐る恐る観たが、なかなかどうしてどこからどう観てもパク・チャヌク。鑑賞後の気持ちは復讐三部作よりも『渇き』に近い!(あまり理解されないが、『渇き』が
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エゴイスト(2023年製作の映画)

4.3

試写会で鑑賞。

1ツイートにまとめられたり伝聞で拡散されると批判されかねない人間同士の関係性を、延々と揺れ続けるカメラと鈴木亮平さんの肉体の説得力で「外野にあーだこーだ言わせない物語」としてがっちり
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THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

4.7

いろんな感想が目まぐるしく体内を駆け巡ってやまないけど、

まず「目やバストを過剰に大きく描いたり、アニメでしか聞かない種類の声を当てなくても、写実方向のデフォルメの追求でアニメ的快楽は200%得られ
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アバター:ウェイ・オブ・ウォーター(2022年製作の映画)

3.6

映像的に凄いことをやり過ぎていて、それに慣れると「何が凄いのか?」と麻痺する時間が発生する微妙な時期。3時間10分もやってれば「あれ、で、これ何なんだっけ?」と、水から顔を出すように我に返って当然。や>>続きを読む

そばかす(2022年製作の映画)

4.0

異性愛のベクトルが世界を支配する物理法則かのような会話やフィクション、もう要らないと思ってるんだけど、それが物理法則だと思ってる作り手がいる限りはこういう映画が存在し続けないといけない。

三浦透子、
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ナイブズ・アウト:グラス・オニオン(2022年製作の映画)

4.0

Netflixの試写でスクリーンで。

前作観てなくて余裕でOK。

ミステリ的な面白さをふんだんに見せた後に
「小説だとほぼ意味ない、映画ならではのバカ極端で文字通り目が覚めるサスペンスアクション展
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ゲゲゲの鬼太郎(1985年製作の映画)

3.9

オープニングが今観てもめっちゃかっこいい。

咬竜という巨大モグラのような造形の海中怪獣がキモ怖くて良い。

悪役の名前はちんぽなので話題にしづらい。

沖縄の妖怪キジムナーが雑魚キャラとしてちょこま
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アフター・ヤン(2021年製作の映画)

4.2

押しも押されもせぬ大傑作として残っていくだろう。

「もしも小津安二郎が21世紀にドラえもんの最終回を撮ったら」と言えるくらいわかりやすく、ヤンの記憶世界だけが不思議な感覚。

日本文化に親しんだ身と
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バッドガイズ(2022年製作の映画)

4.0

※番組で監督にインタビュー。

日本のアニメファンだと公言する海外監督はよくいるけど、この人はレベルが違う!

ドリームワークスが作る動物大集合系アニメのファンとしては「待ってました!」な快作。

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LAMB/ラム(2021年製作の映画)

4.4

傑作だと思う。羊人間の子供が怖いネイチャーホラーと語られがちだが、そこではない恐怖の対象が2つある。映るあらゆる主体が恐怖の主体になってるのが偉い。「全部怖い」という話。

一つは、人間が怖い。
子供
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よだかの片想い(2022年製作の映画)

4.1

ワンテーマ型の淡々とした内面映画かと思ったら、予想を超える展開が後半にちゃんと起きて、劇映画として楽しめた。が、そこまでの諸々をラストシーンが敢然と超えてくる。ラストシーンのための物語だ。

人目に触
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あの娘は知らない(2022年製作の映画)

3.9

オリジナル脚本でやろうという気概と
福地桃子と岡山天音の自然体の魅力、
井樫監督の映像管理力だけで密度があって推せる。

夏の終わりの湿度、蝉時雨、陽炎、紫煙、土砂降りの雨。潮風が画面から香り、肌に張
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沈黙のパレード(2022年製作の映画)

3.9

冒頭の異様な畳み掛けと、
北村一輝(これ以外は俳優名を挙げるとネタバレになりそう)を中心とした俳優陣の大写しがとてもよかった。撮影の山本英夫が素晴らしい。

汗と湿度がにおい立つ夏の大作としては、
9
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ビースト(2022年製作の映画)

3.9

すこぶるわかりやすくて面白かった。
日本語字幕なしの試写でも充分わかった。

ライオンキングの実写の時は「技術の使い方、これであってる?」と思ったけど今回はこれであってる。

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

3.9

映画史への言及が第一のテーマというようなマジメな作品ではなく、巨大女性器がブンブン空飛んでたら分け隔てなくみんな吸い込まれそうで怖いよね!というおバカ映画に「見ることの搾取性」「スペクタクルと資本主義>>続きを読む

恋する惑星 4Kレストア版(1994年製作の映画)

4.5

前半と後半、こんなに分離してたっけ?

「忍び込むこと」「雨」などウォンカーウァイ的モチーフがしっかりと敷き詰められてる。

金城武扮する男は過剰にアンニュイな感じが『天使の涙』と同じだけど、相手の女
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プアン/友だちと呼ばせて(2021年製作の映画)

3.3

プーンピリヤ感(バッドジーニアスしか知らないけど)を期待して観に行ったら意外とウォンカーウァイに飲み込まれてて、どちらも好きだけどどっちの味も楽しみきれなかったような複雑な後味であった。

自分が人生
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激怒(2022年製作の映画)

4.5

ディストピア映画への高橋ヨシキさんの造詣が凝縮された傑作。

「安心・安全」の美名の下に権力都合の相互監視社会が、じわじわと順調に仕上がっていく現代日本の延長線上の地獄社会。今まさに話題になってる某与
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ソニック・ザ・ムービー/ソニック VS ナックルズ(2022年製作の映画)

3.2

元のゲーム知らないし前作ほとんど覚えてないけど楽しめた。ナックルズとテイルスが可愛い。

ソニックの孤独を描いた束の間の一人暮らしのシークエンスが哀愁あって記憶に残った。

ジム・キャリーは特に新鮮味
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スマホを落としただけなのに(2018年製作の映画)

2.9

食わず嫌いしてたけど中田秀夫研究のために鑑賞。

前半の表題通りの日常恐怖の図示的パートは面白かった。田中圭に愛着が湧くので見ていられる。

しかし台詞回しの不自然さと主演女優のオーバーアクトが見てい
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ドロステのはてで僕ら(2019年製作の映画)

4.3

久しぶりに再見してやはり楽しめた。

タイムパラドックスの論理構成と
ワンカットの努力。
2つのストロングポイントが抜きん出てる。

過小評価というか、凄さの割に広がっていないのは、演劇的なテンション
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カーター(2022年製作の映画)

2.9

凄いんだけどかなり早い段階で「フルCG」「ゲーム画面」と認識してしまって、凄く感じなくなってしまった。

生身の人間が物凄い労力で作ってるのに
「ありえな過ぎる」「過剰にスムーズ」だと
むしろ凄く見え
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コンビニエンス・ストーリー(2022年製作の映画)

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三木聡監督の映画は2000年代に輝き、2010に入ると綺麗に失速した。個人的には2013年の『俺俺』も好きだが、世評的にはそれ以降の下り坂は周知の通り。

2000年代の退廃的、虚無的、それでいて空元
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女神の継承(2021年製作の映画)

4.9

豊作の2022年ホラーでも突出した出来。

アニミズムの功罪。森羅万象を信じて委ねることは、それだけ「わからない」ことを諦める態度でもある。中途半端に科学的になった人間達の試行錯誤がことごとく的を外す
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