うめまつさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

うめまつ

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フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法(2017年製作の映画)

3.6

ムーニー!スクーイー!青空の下小さな子供が叫びながら走っている。白いタンクトップから伸びる日に焼けた細い腕。後ろ姿で始まる映画が好きだと思う。悪夢みたいに鮮やかな人工紫の壁の前に座る子供が2人。からの>>続きを読む

リトル・フォレスト 春夏秋冬(2018年製作の映画)

3.6

橋本愛ちゃん主演の日本版が好きで好きで好き過ぎて30回は観てるので鑑賞。韓国版はより人との繋がりが強く描かれていて、料理も所謂「映え」を意識したものも多く、憧れのカントリースローライフって感じ。美しい>>続きを読む

お葬式(1984年製作の映画)

4.4

The Japanese Traditional『OSOHSHIKI』って感じ。弔いの儀式も調理次第で味わい深いエンタメになる。棺の値段、お寿司の数、挨拶の例文、お布施の相場、火葬の温度。儀式にまつわ>>続きを読む

ほんとうのピノッキオ(2019年製作の映画)

3.8

まずロベルトベニーニがジェペット爺さんを演じるほど歳を取ったということに謎の感慨。お爺さんは一晩であれほど精巧な木彫人形を彫れる一流の腕を持っているのに、何故教科書も買えないほど貧しいのだろう。他の市>>続きを読む

ピノキオ(1940年製作の映画)

4.0

ディズニー史上最高の猫である、フィガロの愛くるしさとその動きの猫々しさについて折に触れ語りたい。フィガロが出てくると本編そっちのけで「可愛いー!」「こっち向いてー!」と応援上映状態になる。初期のディズ>>続きを読む

若き仕立屋の恋 Long version(2004年製作の映画)

4.2

こんなト書だけ読んだら安いポルノになりかねない物語を、まるで《今世紀最高に美しい悲恋》かのように描く、ロマンチックエロス神こと王家衛が悔しいけど大好きだよ。。開始10分くらいで何を見せられてるの?って>>続きを読む

セブン・イヤーズ・イン・チベット(1997年製作の映画)

4.0

どうして人は種を撒かれた場所で精いっぱい咲いて朽ちる花のようには生きられないのか。他の土地に侵略し根を張る花を引っこ抜き自分の旗を刺す行為の醜悪さ。平和を愛し、無我の境地を尊び、誰かの上に立つ事は目指>>続きを読む

リズと青い鳥(2018年製作の映画)

3.8

水滴で編んだニットみたいに繊細だ。柔らかくてひんやりと心地良くて光を吸い込んでツヤツヤと光る。無理に脱ごうとすれば、するすると零れ落ちて消えてなくなってしまう。そんな少女性という透明な繭の中で、彼女た>>続きを読む

マティアス&マキシム(2019年製作の映画)

4.4

傷つけられることに慣れ過ぎたマキシムの泣いてるみたいな笑い顔に何度も胸が締め付けられる。優しいから傷つきやすくて、誰も傷つけたくないから自分が先に傷つくしかなくて、でも傷ついてるなんて言えなくていつも>>続きを読む

ジョン・F・ドノヴァンの死と生(2018年製作の映画)

3.6

全然悪くないけどちょっと物足りなかった。麗しくも獰猛な映画怪獣ドランにもっとこてんぱんにされたかった。その鋭い爪で心の中を掻き毟られたり、切ない鳴き声に胸を締め付けられたり、吐き出された血飛沫を浴びて>>続きを読む

バーフバリ 王の凱旋 ≪完全版【オリジナル・テルグ語版】≫(2017年製作の映画)

3.8

毎シーンが特濃かつ特盛。何もかものスケールがデカくてちょくちょく人間が米粒サイズになる。怪力であることを伝えたいのはわかるが、木を根ごと引っこ抜くし岩は割るし建築物さえ素手で壊すので、最後の方は「イン>>続きを読む

バーフバリ 伝説誕生<完全版>(2015年製作の映画)

3.6

ロマンチックハプニングみたいに描かれてるけど、許可なく人の身体にタトゥー入れたり、勝手に服を脱がせるのは立派な犯罪ですよ?あの流れでアヴァンティカがコロッといくのは全然解せないな、と思ってたらこれはボ>>続きを読む

TOVE/トーベ(2020年製作の映画)

3.4

ムーミンファンは全員トゥーリッキが出てくるシーンで腰抜かしたと思うけど、もれなく私も抜かした。何となくムーミン要素少なめなんだろうな〜とは思ってたので構成に不満はないし、トーベをやたら持ち上げたりする>>続きを読む

ストリート・オブ・クロコダイル(1986年製作の映画)

4.2

想像通り不気味でダーク。そして一等寂しい。この世の終焉にさえ取り残された深い深い地下室で繰り広げられてる物語みたい。乾き切った灰色の空間に突如現れる臓物、を包んで湿る薄紙。懐中時計の中に閉じ込められた>>続きを読む

ヤン・シュヴァンクマイエルの部屋(1984年製作の映画)

4.4

想像の10倍ファンシーでポップ!不穏カワイイという新ジャンル。これならEテレでも放送できるしぜひクエイ兄弟には『みんなのうた』のMVを撮って欲しい。怖いと美しいが共存する事を幼少期に学べたら芸術教育に>>続きを読む

はちどり(2018年製作の映画)

4.4

ねぇお母さん、私今日『はちどり』ってゆう映画を観たんだよ。主人公の14歳のウニちゃんはね、親友も彼氏も慕われてる後輩も大好きな塾の先生も居るんだけど、学校にはあんまり馴染めなくて、お父さんは厳しくて、>>続きを読む

川っぺりムコリッタ(2021年製作の映画)

4.0

ノー白米ノーライフ。松ケンはいつも私を安心させてくれる。この演技は嘘じゃないんだと信じさせてくれる。もっと上手い人も存在感のある人も居るだろうけど、まるで炊き立てのごはんのように素直でピカピカであった>>続きを読む

フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

3.8

こんなに精巧丹念に作られた《俺の美意識100満点》の画面に、よく無粋極まりない字幕が入ることを許しましたねダーソン監督。。字幕なしで見れないことをこれほど申し訳なく思ったことはない。もう情報量が多すぎ>>続きを読む

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

3.4

とにかく終始こっぱずかしくて空いてる穴をさらに掘って3年は冬眠してムーミンになって目覚めたい気分だった。では面白くなかったか、というとそうでもないのが複雑なところ。でも時間が経つにつれ嫌なところばかり>>続きを読む

デヴィッド・ボウイ 最初の5年間(2019年製作の映画)

3.4

律儀なミーハーの為ムーンエイジの復習②
初恋のバレリーナ曰く出会った頃のボウイは「21歳なのに8歳に見えた」らしいんだけど、あのお顔立ちでそれは流石に可愛過ぎるし罪深過ぎるので即保護した。初期の頃凡ゆ
>>続きを読む

デヴィッド・ボウイ 最後の5年間(2017年製作の映画)

3.4

真面目なミーハーの為ムーンエイジの復習①
『最初の5年間』とセットでとても親切なTHEドキュメンタリーで、ムーンエイジのガイドとして観るのに最適だった。関係者が「私たちの大好きなボウイ」を嬉しそうに語
>>続きを読む

デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム(2022年製作の映画)

4.4

愛に飢え居場所を探す寂しそうな子供の顔と、神の遣いとして地球に舞い降りた天使の顔と、アートに取り憑かれた妖艶な悪魔の顔が行き来する。周りにはいつも音楽が鳴り華やかな色彩にも囲まれているのに、彼自身は常>>続きを読む

なぜ君は総理大臣になれないのか(2020年製作の映画)

3.8

『エルピス』があまりに面白くて、でも現実の日本はドラマ以上に地獄である事を悉く実感して、かと言って今すぐ自分がどうにか出来る訳でもないので藁を掴むような気持ちで観た。

その期待通り小川氏は実直を絵に
>>続きを読む

君も出世ができる(1964年製作の映画)

4.4

開始1分で目が釘付け。ずんぐりむっくり体型(失礼)のフランキー堺が、謎のキレ味と奇妙な愛嬌で歌い踊りながら出世を目指す、底抜けに明るいミュージカル。高度経済成長期の日本の有り余るエネルギーがこれでもか>>続きを読む

パルプ・フィクション(1994年製作の映画)

4.0

愛すべき無駄話とチーズハンバーガーと変な友情とミルクシェイクとツイストと日本刀と血飛沫とブルーベリーパンケーキと脳の残骸で出来ている、世にも無用な物語。何の栄養も摂れないけどついつい食べちゃう魅惑のジ>>続きを読む

三月のライオン デジタル・リマスター版(1991年製作の映画)

3.8

90年代のひんやりとざらついた空気がそのまま真空パックされていて、始まった瞬間タイムスリップしたような気持ちになった。レンタルビデオ屋さんでタイトルとジャケットだけを頼りに借りた映画を毎週見ていた10>>続きを読む

戦場のピアニスト(2002年製作の映画)

4.6

見始めてしまったことを数分で後悔したくらい、ずっとずっとずっと辛いシーンが続くのに、どうしても目を逸らす事はできなかった。人間をこれほどまでに残酷な生き物に出来る戦争って何なんだ。「神の采配だ」とあの>>続きを読む

アフター・ヤン(2021年製作の映画)

4.8

魂というものがあるとするなら、その誰にも触れられてない柔肌を撫でられているような感覚だった。映画としてもとても好きだけれど、インスタレーションアートを鑑賞しているような心地でもあった。お茶の葉も朝露も>>続きを読む

ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス(2022年製作の映画)

3.4

マーベルだと思ってたのに、いつのまにかゴシックゾンビホラーになったので私も途中で時空移動しちゃったかな?って不安になった。鑑賞後に監督を知って納得したけど、そういう大事な事はタイトル末尾に〜サムライミ>>続きを読む

ドクター・ストレンジ(2016年製作の映画)

3.4

アベンジャーズもマルチバース(はまだか)も門外漢だけどカンバーバッチ目当てなので割と楽しめた。これも天才だけど性格が複雑骨折してる役なのね。大体高慢で嫌な奴か精神を病んでるか酷い目に遭うかそうでなけれ>>続きを読む

パワー・オブ・ザ・ドッグ(2021年製作の映画)

4.8

この映画は鑑賞者の力を信じている。誰の目線でもない視点、言語化されない心象風景、本心が何重にも包まれた台詞、深層心理を見せない登場人物達。演技で撮影で音楽で全てを物語ろうとしている。あぁそうだ。これが>>続きを読む

ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ(2021年製作の映画)

4.0

猫×カンバーバッチ×画家だなんて「私この作品オーダーメイドしたかしら?」と勘違いするくらい観る前から好きだったけど、2時間かけて一番思い知らされるのは『版権(著作権)は大事』ということ。描いても描いて>>続きを読む

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

4.0

飢えた狼と不機嫌な猫と寂しそうな子犬の間を行ったり来たりしている、岸井ゆきのちゃんのお顔があまりにも雄弁なので、ケイコが発声していない事が全然気にならない。そもそも台詞が少なく劇伴もなかったけど、寧ろ>>続きを読む

青いパパイヤの香り(1993年製作の映画)

4.6

扉という概念はないのかな?というくらい開放的で、日差しと風を養分にして呼吸しているようなベトナムの邸宅。もはや内と外の境目すら曖昧で、庭の緑やそこに集う生き物達とごく自然に共生している。光も風も命もそ>>続きを読む

ダニエル(2019年製作の映画)

2.0

たまには守備範囲外のものを行き当たりばったりで観てみるか、と思いまんまと撃沈。シュワちゃんの息子さんが《妖しくも美しい僕だけの親友》という、設定だけで二次創作が捗りそうなイマジナリーフレンドの役なのだ>>続きを読む

キングスマン:ゴールデン・サークル(2017年製作の映画)

3.4

ご都合主義でいいから、JBよ瓦礫の下から出て来ておくれ。。と祈ったが、本作においてそんな甘い願いは叶うはずもなく虚しく雨に流された。別にずっと英国舞台でもいいのに、アメリカンとかウエスタンとかエルトン>>続きを読む