うめまつ

君も出世ができるのうめまつのレビュー・感想・評価

君も出世ができる(1964年製作の映画)
4.4
開始1分で目が釘付け。ずんぐりむっくり体型(失礼)のフランキー堺が、謎のキレ味と奇妙な愛嬌で歌い踊りながら出世を目指す、底抜けに明るいミュージカル。高度経済成長期の日本の有り余るエネルギーがこれでもかと注入されてて、見てると無駄に元気になる。セットや美術もめちゃくちゃセンスがある、という訳でもないけど色々豪快だったり斬新だったりやたらレトロフューチャー感もあったりして飽きないし、当時日本にあんな巨大なセットが組めるスタジオがあったことにまず驚く。そこで繰り広げられる社員総出の群舞は、振りが特別揃ってる訳でもないのに活気と熱量が凄い。「アメリカでは顔を洗うにもコカコーラ!」が好き。

雪村いづみさんがランジェリードレス姿を水面や鏡に映しながら「私の素顔を見つめて欲しい」と歌うところなんて、歌謡曲なのにほぼディズニープリンセスだったし、甘い歌声でひたすら砂漠を恋しがる、高島忠夫のぼんやり天然具合もいい味出してた。不思議なほど画面が隅々まで生き生きしていて「制作に関わっている誰一人としてこの映画に迷っていないな」と感じさせてくれる清々しさがある。ただトイプードルをピンクに染めてたのだけは許さないけど。ラストショットもごきげん過ぎる。タクラマカーン!
うめまつ

うめまつ